サムスングループが、創業以来最大規模となる人事を断行した。サムスン重工業の金澄完社長とサムスン物産の李相大社長の2人が副会長に昇進するなど、グループ全体で社長12人、副社長17人、専務73人、常務157人が昇進、役員人事は昨年の233人を上回る247人の過去最高の異動となった。今回の大規模人事は、「不正事件」で李健熙会長が退陣するなど、失墜したサムスンのイメージを刷新し、グローバル経済危機を克服するのがねらいとみられている。
今回の人事は、60代以上のCEO(最高経営責任者)と在任期間が長い社長らを退陣させ、若手を起用した点が目をひく。50代のCEOを増やし世代交替を図ったほか、現場に明るい専門家と財務通を重用しており、サムスン電子の李基泰副会長や黄昌圭・技術総括社長ら18人が一挙に退任した。
サムスンは今回の人事の背景について、電子と金融を主力とするこれまでの事業構造から脱皮し、重工業、建設などを含むすべての系列社を「超一流」に押し上げる布石だと説明している。このため、重工業と建設の社長を副会長に昇進させ、電子、金融とともにグループの中核事業に育成していく。
サムスン物産の李相大社長を副会長に起用したのは、景気の低迷で苦境にあえぐ同社の建設部門のてこ入れを図り、一流建設会社への飛躍をめざすのがねらいとみられる。李相大社長の副会長昇進によって、建設と商社に分かれているサムスン物産の事業構造は建設に重心が移る見通しだ。
サムスン重工業は今回の人事で攻撃的経営の陣容を整えた。金澄完社長の副会長昇進に続き、社長にペ・ソクヨン副社長とエスワンの魯寅植社長を起用した。これによって同社の首脳部は副会長1人と社長2人の体制へと強化された。人事と労使の専門家である魯社長は、組織部門を担い、現場に強いぜ卍垢和ちセ・箸鯏・腓垢襦」
一方、グローバル景気の悪化によって収益性が落ち込んでいるサムスン電子は、ブランド管理とマーケティングに卓越した崔志成・情報通信総括社長をデジタルメディアコミュニケーション部門の社長に登用した。崔社長は、「ボルドーテレビ」などの開発で優れたマーケティング手腕を発揮し高い評価を受けており、今後は戦略製品の開発とブランド管理、欧米など主力市場での戦略を担当する。
さらにサムスン電子は、4事業部(半導体、液晶、デジタルメディア、情報通信)を部品(半導体+液晶)と製品(デジタルメディア+情報通信)に二分割、李潤雨副会長と崔志成社長の2トップ体制による現場中心型経営に改編する。李潤雨副会長はデバイスソリューション部門長を兼任する。