ルノーサムスン自動車が、韓国メーカーとして初めてモーターだけで走る電気自動車を2011年10月から量産化する計画を発表した。モーターなど主要部品は国内で調達し、充電に必要なリチウム電池など中核部品は国産化する。電気自動車をめぐっては、地球温暖化防止の観点から日米欧メーカーの競争が激化しており、韓国メーカーでも先進国レベルの環境対応車の生産が本格化しそうだ。
ルノーサムスンはこのほど、駐韓欧州連合(EU)商工会議所が主催した「第1回国際自動車部品セミナー」で、部品メーカー関係者らに対して電気自動車普及計画を明らかにした。「RSM(ルノーサムスン自動車)戦略と供給会社ネットワーク」と題した資料によると、同社は2011年から釜山工場で準中型セダン車「SM3」型電気自動車の量産を開始、済州地域のレンタカーや公用車などでの試運転を経て、2013年から一般消費者用に発売するとしている。
電気自動車に関する基本的な技術は、この分野で先行するルノー・日産の協力を仰ぐことになるが、バッテリー、モーター、コントローラーなどの中核部品は国内メーカーから調達する。特にリチウムイオン電池の開発では、SKエネルギーやLG化学などの大手メーカーと提携し、1度の充電で最低3時間以上は走行できる充電池の開発を急ぐ。
電気自動車は、地球温暖化を引き起こす化石燃料を使用しないため、ハイブリッド車(エンジンとモーターを同時に動かして燃料を節約する車)に続くエコカーとして注目を集めている。「低炭素・グリーン成長」を掲げる韓国政府も積極的に開発を支援している。
同社幹部は、「電気自動車を今後6年間生産すると、5兆ウォンの生産誘発効果がある」と述べ、関連部品や完成車を海外に輸出する計画もあることを明かしている。
もちろん、量産に向けての課題も少なくない。長距離走行を可能にする充電施設などのインフラ整備が早急の課題だ。自動車専門家は「電気自動車が販売されても、各地に充電所がなければ長距離走行が不可能だ」と述べた。さらに充電コストが1人当たり年間20万ウォン以下に抑えられなければ、現行車からエコカーへの代替が進まないという指摘も出ている。
量産体制に移行しても、電気自動車1台分の生産コストが現行車の数倍にも上ると予想されており、同社は開発過程で税制上の優遇措置や補助金の支援を政府に求めていく方針だ。
そのため、開発初期段階では完成車メーカーと政府、韓国電力、部品メーカーなどでコンソーシアムを構成し、官民一体プロジェクトとして推進する案も浮上している。さらに電気自動車が一般消費者に好感を持たれるようにするには、駐車代、取得・登録税などの値下げも必須だ。発売当初は、官公庁で義務的に電気自動車を使用するなど、模範を示す必要もある。
自動車メーカー1位の現代・起亜自動車はハイブリッドカーやプラグインハイブリッドカー、水素燃料電池自動車の商用化を進めているが、将来的には電気自動車に移行する可能性が高い。今後、充電池の性能が大幅に向上すれば、電気自動車の世界シェアは数年内に年間1000万台へと成長すると予想され、韓国メーカーの開発競争も激化すると見られる。