ここから本文です

2009/04/03

<韓国経済>政府・2011年までに小型原子炉開発

  • keizai_090403.jpg

    政府が輸出用に開発中のシステム一体型原子炉(SMART)の中核部品である蒸気発生器

 政府は、構造を単純化し、取り扱いを容易にした小型原子炉を2011年までに開発し、中東地域などに輸出する方針を決めた。気候変動問題に対応しながら次世代技術の開発を進める「低炭素・グリーン成長」政策の一環で、世界的に小型原子炉の需要が高まるとの判断で当初計画を1年前倒しした。将来的には先進国の欧州への輸出も視野に入れて、技術開発に拍車をかける。

 先月30日に開かれた原子力委員会(委員長・韓昇洙国務総理)で確定した「小型原子炉早期開発推進方案」によると、輸出用原子炉の出力は10万㌔㍗程度で、韓国や日本の原子力発電所で標準となっている大型原子炉の約10分の1。蒸気発生器や1次系の配管などを原子炉圧力容器内に組み込んだ構造の加圧水型軽水炉で、政府は97年から中東などの発展途上国への輸出を想定し開発を進めてきた。

 政府が開発を進めているのは、海水淡水化設備と組み合わせたシステム一体型原子炉(SMART)で、人口10万人程度の都市に必要な水と電気を同時に供給できる。本来、12年までに標準設計の認可を得て、20年までに10基あまりを輸出する計画だったが、今回、当初目標を1年操り上げたことになる。

 国際原子力機関(IAEA)などは、50年までに500~1000基のSMARTが世界で建設され、市場規模が約350兆ウォンに達すると予想している。

 政府は、原発プラントの初輸出先として、アラブ首長国連邦、ヨルダン、トルコ、中国などを想定しているが、欧州地域も有力な進出先と定め、関係各国との協力関係を強化している。

 韓国電力公社と韓国ガス公社、韓国産業銀行は1日、李明博大統領の英国訪問に合わせ、英国のエネルギー技術企業のアメック(AMEC)と合弁企業設立に関する覚書書を締結したことも、海外戦略の一環と位置づけられている。

 合意内容は、アメックが10月までに合弁企業を仁川経済自由区域に設立するというもので、総出資規模は5600万㌦。出資比率はアメック54%、韓国電力19%、韓国ガス15%、産業銀行12%となった。知識経済部はアメックがエネルギー事業分野で経験が豊富で、国際的な認知度が高いため、原子力発電の輸出や体系的な人材育成ができると期待している。

 また、教育科学技術部の金重賢・第2次官は3月30日から4月1日までオランダとベルギーを訪問し、技術協力や原子炉輸出の可能性を探った。

 金次官は、オランダのデルフト工科大学で原子力技術に関する説明会を開き、研究用原子炉を稼働中の原子力研究所やエネルギー開発企業の幹部らと、放射性同位元素の生産協力などについて協議した。さらにベイインク・経済省事務次官との会談では、原子力協力協定の締結を提案した。ベルギーでは、欧州委員会のポトチュニック科学研究担当委員と会談し、原子力専門家の相互訪問などについて協議した。

 欧州はじめ世界各国の研究用原子炉は長期運転による老朽化などで、25年までに100基を超える代替需要が発生すると予想されている。1000兆ウォンを超えるといわれる世界の原発市場への進出は、エネルギーの自立と経済活性化という国家目標を実現させる重要なプロジェクトになると期待されている。