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2009/07/10

<韓国経済>韓国政府・企業の投資支援を拡大

  • 韓国政府・企業の投資支援を拡大

    李明博大統領が官民合同会議に先立ち、鄭夢九・現代起亜自グループ会長らと談笑している

 韓国政府は経済活性化のため、年内に5兆ウォン規模の設備投資ファンドを立ち上げ、総額10兆ウォンの支援体制を確立する。また、未来成長分野の研究開発(R&D)に投資する企業に対して、税額控除率の上限を20―35%に引き上げる方針だ。政府がファンドに出資することで、長引く不況で停滞している企業の投資を促すことになりそうだ。

 政府は2日、李明博大統領主宰で官民合同会議を開き、ファンド設立などを骨子とする「企業投資活性化案」を確定した。会議には大企業や中小企業の代表も参加し、政府による財政投資で息を吹き返しはじめた経済を活気づけるには、企業の投資を引き出す「呼び水」としてのファンドの役割が重要だとの認識を共有した。

 具体的には、政府、産業銀行、中小企業銀行、国民銀行が5兆ウォンを出資し、設備投資ファンド(PEF)を年内に設立する。これに産業銀行などの設備投資向け融資枠5兆ウォンを加え、総額10兆ウォンの支援体制を整えるというものだ。

 ファンドの規模は段階的に20兆ウォンに増やし、将来的には企業側に20兆ウォンを分担してもらい、最終的には40兆ウォンに拡大する。企業と大学が資金を出し合って研究開発を行う「マッチングファンド」をモデルに、官民合同で設備投資ファンドを運営することで、企業側のリスクを緩和しようという狙いだ。

 ファンドは、設備投資を望む企業が投資資金を申請した後、審査を経て投資を受けるという仕組みだ。新規事業に投資する場合は、企業とファンドが折半出資で特殊目的会社(SPC)を設立し、ファンドの出資や長期社債の発行という形で支援を受ける。SPCで発生した利益は企業とファンドに配当する。

 ファンドの管理は産業銀行が担当し、運営は民間の専門機関に委託する。企業の負担が重く、ハイリスクの新成長動力分野や、高度の技術力を持ちながらも資金力不足に苦しむ中小企業などが主な投資対象となる。SPCは経営に一切関与せず、経営陣に出資比率に見合う株式の優先購入権を与える。

 また政府は、研究開発投資を行う企業に対する税制特例措置として、税額控除率の上限を引き上げる。LED(発光ダイオード)、グリーン金融、グリーン輸送システムなどの新成長動力分野に投資する企業は、20~35%の税額控除を受けることになる。これは、従来の控除率(3~6%)や日本の控除率(平均8~10%)と比べ、はるかに高い水準だ。

 たとえば、サムスン電子がLEDの研究開発に1兆ウォンを投資する場合、その年度に支払う法人税から最大で20%の2000億ウォンが控除される。この場合、控除額は最大600億ウォンとされていた。

 政府はさらに、敵対的M&A(合併・買収)を行う企業の防衛策として、「ポイズン・ピル」(低価格で新株を購入できる権利を既存の株主に付与する制度)の導入も進める計画だ。李大統領は「未来への投資は企業の社会的義務であり責任だ。危機後に備えるには、今から新成長動力を育成しなければならない」と語った。