世界の電子市場で快進撃を続けるサムスン電子の下半期(7―12月)経営戦略が確定した。売上目標を上半期(1―6月)の実績(61兆1800億ウォン)を30%以上も上回る80兆ウォンに設定し、過去最大の2兆ウォンに及ぶマーケティング予算を編成した。同社は、収益の一部を犠牲にしても世界市場におけるシェア拡大に力を注ぐ方針だ。
サムスン電子はこのほど、李潤雨(イ・ユンウ)・副会長主宰で経営戦略会議を開き、「収益よりも売上拡大に経営力量を集中させる」という骨子の下半期経営戦略を確定した。圧倒的なシェアを誇る液晶テレビや携帯電話などの主力部門で、市場への支配力をさらに強める方針だ。
同社は主力事業の半導体をはじめ、テレビ、携帯電話、液晶パネルの全分野でシェアを大きく伸ばした。しかし、下半期はノキアやソニー、LG電子、ビジオなどの競合メーカーが反攻に転じることが確実だ。各社とも巨額のマーケティング費用を投じ、新製品の開発や値下げ攻勢をかけると予想されている。
サムスン電子は今年上半期に、テレビ部門で世界1位を持続したほか、携帯電話部門でも史上初のシェア20%を確保した。
また、西欧と北米を合わせた先進国市場の第2四半期(4~6月)実績によると、サムスン電子は2220台(シェア25%)を販売し、不動のトップの座にあったノキア(1870万台、シェア同21・1%)から初めて首位を奪った。
それでも同社の経営陣は、世界的な経済危機が最高潮に達した年初と変わらぬ危機意識を持っているとされる。競合メーカーが下半期の本格的な景気回復を前に失地回復を狙っているからだ。このため、下半期も攻撃的なマーケティングを展開し、ライバルが息を吹き返す前に市場を先取りする戦略を描いている。
特に携帯電話部門ではノキアの反撃に関心が集まっている。世界市場調査機関のSAとGfKによると、ノキアは第2四半期に世界シェア36・8%で1位を固守したが、前年同期(39・5%)に比べるとシェアを2・7ポイント下げた。トップの座を守るべく、先進国市場でサムスン追撃に打って出ることは必至だ。
サムスン電子の携帯電話事業部は、▽シェア20%突破▽2ケタの営業利益率▽年間2億台以上の販売などを目標に掲げた。また、テレビ事業部は米国の新興テレビメーカー、ビジオの低価格品攻勢に備え、低価格製品の販売に力を注ぐ。
このような予測から、同社は下半期の営業利益目標を業界の予想値より低い5兆ウォンに設定した。半導体と液晶部門の収益予測は上半期を上回るが、完成品部門では四半期ごとに2兆ウォン以上のマーケティング費用が必要なうえ、為替のウォン高傾向を考慮すると、四半期ベースで3兆ウォンを超の営業利益を出すのは難しいと判断したためだ。