ここから本文です

2009/08/28

<韓国経済>韓国政府・低所得層向け減税実施へ

  • 韓国政府・低所得層向け減税実施へ

    低所得者層や零細業者向けの大型減税が来年から実施される(廃業セール中のソウル市内の店舗)

 韓国政府は、景気刺激策として低所得層や零細自営業者を対象に総額3兆6000億ウォン規模の減税や所得控除を来年から実施する。低所得・無住宅勤労者や農漁民らが毎月支払う家賃の40%(年間上限額300万ウォン)を所得控除するなどの内容を盛り込んだ。景気低迷が続くなか、社会的弱者の経済環境を改善させ、将来への不安を少しでも取り除こうという狙いだ。

 政府はこのほど、李明博大統領主宰で非常経済対策会議を開き、低所得層および零細自営業者支援のための「庶民にやさしい税制支援案」を確定、9月の定期国会に提出することを決めた。

 まず、長引く不況で大きな打撃を受けている低所得者層を支援するため、「家賃所得控除」を新設する。扶養家族があり、年間給与が3000万ウォン以下で、国民住宅(面積85平方㍍)より狭い賃貸住宅で暮らす勤労者は、年間に支払う家賃総額の40%まで所得控除を受けられるようになる。月30万ウォンの家賃を払っている場合は、年間支払い額(360万ウォン)の40%に相当する144万ウォンが控除される。

 また、廃業直前3年間の年収が2億ウォン以下の自営業者は、今後所得が発生したとしても、最大500万ウォンまで滞納税金が追徴されない。現行法では滞納税金の支払いが一時的に免除されても、5年以内に所得が発生すると滞納分を納付しなければならない。

 さらに税金滞納者に関する情報を信用情報機関に通知し、金融取引を制限する制度も緩和される。現在この制度は、500万ウォン以上の税金滞納者に適用されているが、今後2年間に限り、「1000万ウォン以上の滞納者」にのみ適用される。これにより500万ウォン以上を滞納している自営業者45万人のうち38万人が金融機関と再び取引できるようになる見込みだ。

 このほか中小企業経営者の子弟が家業を継ぎやすくするため、相続税控除の対象を現行の「創業10年以上、入社後80%を代表取締役として勤務」という規定が、「代表取締役として60%以上」あるいは「相続開始前の直近10年のうち8年以上を代表理事として勤務」に緩和され、100億ウォンを上限に相続財産の40%が控除される。さらに、年末に終える予定の中小企業に対する非課税・減免制度も2012年末まで延長される。

 年間収入が3億ウォン以下の卸・小売業者や、1億5000万ウォン以下の製造業者が、不渡りや災害、病気などの事情で納税が猶予される期間も現行9カ月から最大18カ月まで延長される。

 しかし政府は同時に税収確保のため大企業の法人税の減免措置を撤廃するほか、富裕層の所得税を引き上げ、3年間で10兆5000億ウォン規模の増税を行う方針であることから、国会審議で論争が起こる可能性もある。