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2009/09/18

<韓国経済>韓国政府・海洋レジャー産業を育成

  • 韓国政府・海洋レジャー産業を育成

    東洋レジャー産業育成に向け大型マリン施設の建設が進められる
    (京畿道・前谷港の海洋複合産業団地鳥瞰図)

 韓国政府は、健全な余暇文化の振興を目的に海洋レジャー産業の活性化を推進する。全国の沿岸海域のうち、京畿道(キョンギド)などレジャー開発が可能な地域を来年末までに「海洋レジャー観光区」に指定するなどの内容を盛り込んだ「マリーナ10カ年基本計画」を12月までに立案する。これにより海洋レジャー産業の世界シェアを、2020年までに20%に拡大させる計画だ。

 海洋レジャー産業の育成は、三方が海に囲まれている韓半島の自然条件を活用するとともに、収益性に劣る漁港の再活性化に寄与するという意味で「町おこし」的な経済効果も期待できる。さらに、中・高所得者層の消費を促すとともに、海外からの消費需要を喚起することで景気浮揚効果も大きい。

 企画財政部、国土海洋部、知識経済部、農林水産食品部など関係部署によると、国内で現在運営中の海洋レジャー施設は釜山市の水営(スヨン)、慶尚南道の鎮海(チネ)と三千浦(サムチョンポ)、統営(トンヨン)、忠武(チュンム)、済州道の中文(チュンムン)など8カ所にすぎない。現在、南海岸地方の6~7カ所が開発予定地域に指定されているが、これに27カ所ほどをさらに追加する。さらに、海洋と陸地を結ぶ島嶼部などを「海洋レジャー活性化区域」として再開発する計画だ。

 マリーナとは元々、「海岸の散歩道」というラテン語に由来する。政府は、船舶の係留施設のほか、さまざまなレジャー文化やサービスを提供できる総合海洋レジャー施設として「海洋レジャー観光区」(別名、マリーナ港)の造成する計画だ。

 このため、漁船用に指定されている港を、ヨットも停泊できるよう「マリーナ港湾造成と管理に関する法律」の規制緩和を進める。さらに、スキン・スキューバ・ダイビングを活性化させるため、漁業区域の一部を解除することも検討している。

 韓国政府がマリーナ港の成功モデルとしているのは、豪州のクイーンズランド。昨年、8地域の地方自治体関係者が同所を視察した。

 自治体のなかでは、2015年まで1957億ウォンを海洋レジャー産業育成に投資することを決めている京畿道(キョンギド)が積極的だ。最近、世界ヨット大会を開催した華城(ファソン)市の前谷(チョンゴク)港をはじめ、済扶島(チェブド)、安山(アンサン)市の2港など4カ所に1113隻のボートが係留できる団地を造る計画だ。

 韓国は造船分野で世界をリードしていることもあり、これとIT(情報技術)を組み合わせれば、海洋レジャー産業が多くの収益を生む有望産業に成長するとの見方もある。海洋レジャー市場は個人所得に比例して成長するといわれ、所得が1万5000~2万㌦になった時に爆発的に成長したという先例もある。これはまさに、韓国の現在の状況に合致するとの指摘だ。