現代自動車がチェコ北東部のノショヴィツェ市に、年産20万台の自動車生産工場を建設した。欧州で人気の準中型自動車「i30」などを生産する予定で、チェコは欧州工場攻略の生産拠点となる。米国、中国、インドに続き、欧州でも生産・販売体制を構築したことで、同社が世界の有力自動車メーカーのビッグ4に飛躍する体制が整った。
現代自が10億ユーロ(約1兆8000億ウォン)を投じて建設した自動車工場は、スロバキアやポーランドと国境を接するモラビア・シレジア地方のノショヴィツェ市(人口3万人)に位置している。敷地面積200万平方㍍、延べ床面積21万平方㍍の大型工場だ。
この工場では、欧州戦略モデルの準中型乗用車「i30」と「i30cw(ワゴン型)」の生産が始まる。i30は今年に入り、販売台数が6万台を記録するなど、欧州市場で旋風を巻き起こしている人気車だ。11月からは、傘下の起亜自動車が開発した多目的車(MPV)「ベンガ」の生産も開始する予定だ。
また、来年下半期には小型MPVの新型車の生産も始める計画で、2011年までに同工場の年間の生産台数は30万台に増える見通しだ。
現代自の鄭義宣(チョン・ウィソン)・副会長はチェコ工場の竣工式で、「この工場では、完全な品質と最高レベルの競争力を備えた欧州戦略車を生産する。世界のトップメーカーになるため、グローバル生産体制構築の中心的な役割を担うことになる」と述べた。
同工場には系列社の部品メーカー、現代モービスのモジュールおよびシート生産ラインを設置することで、部品調達の労力とコストの大幅削減を可能にした。部品はベルトコンベアを通じて供給されるため、物流経費も節約できる。
組立ラインも最先端設備が導入され、290台のロボットが車体を組み立てる完全自動化システムが取り入れられた。設計からプレス、塗装、組み立て工程に最先端設備を導入したほか、部品・物流倉庫や出荷検査場、3・3㌔の走行試験道路なども完備した自給自足式の完成車工場となっている。
さらに、同工場は隣国・スロバキアのジリナ市にある起亜自の自動車工場との連携も強化する方針だ。起亜自のスロバキア工場と現代自のチェコ工場との距離はわずか85㌔㍍。このような地理的メリットを生かし、チェコ工場では変速機を、スロバキア工場ではエンジンを生産するなどの相互補完体制も強める。
現代自の海外工場はチェコ工場の完成により米国、中国、インド、トルコを合わせ5カ所に増え、年間180万台の海外生産能力を誇る。起亜自も年内に米国・ジョージア工場が完工予定となっており、中国、スロバキアと合わせ3つの工場を持つことになる。
これにより、現代・起亜自は年産283万台の海外生産能力を備え、再来年にロシア工場(年産10万台)の建設とチェコ工場の増設が完了すると、海外生産能力は年303万台に増える。これは昨年の国内生産台数(311万台)とほぼ同数だ。現代自は、来年、一時中断したブラジル工場(年産10万台)を着工し、北京工場も増設する計画だ。