韓国の貿易が明るさを取り戻している。知識経済部が発表した「9月の輸出入動向」によると、輸出は前年同月比6・6%減の349億7000万ドルを記録した。減少幅は昨年11月以降、初の1けた台となり、輸出額も昨年10月以降では最大となった。貿易黒字も53億7000万ドルと、前月より大きく増え、「不況型黒字」から脱出したとの見方も出ている。
9月は輸出同様に輸入も同25・1%減の296億㌦を記録した。今年に入り、30%台で推移していた輸入減少幅が初めて20%台に下がり、一日当たりの平均輸入額も昨年11月以降、初めて12億㌦を超えた。資本財や消費財の輸入が増えるなど、内需にも回復の兆しが現れている。
9月の特徴は、今年2月以降8カ月連続となる貿易黒字の実態に明確な変化が表れている点だ。これまでは、輸出も輸入も急減するなかで貿易収支が黒字となる「不況型黒字」が続いていたが、交易条件の改善により、黒字の実態が変わりつつある。
実際、輸出も1日当たりの平均輸出額が14億6000万㌦に増え、金融危機前の水準に近づいた。輸出入ともに危機前の状態に急速に回復しており、この流れは第4四半期(10~12月)にも引き継がれると政府は展望している。
輸出品目別では、液晶デバイスが前年同月比29・4%増と好調を維持したほか、一時的に輸出が萎縮していた半導体も同22・6%増の36億1000万㌦と、2006年12月(37億3000万㌦)以降で最高実績を記録した。
特に自動車輸出は対米向けが83・9%増と急伸したことで、8月の24・1%減から20・5%増に反転した。このほか、船舶(7・4%減)、繊維(2・8%減)、家電(12・3%減)などでも減少幅が大幅に緩和している。
サムスン経済研究所は、「中国など新興国の需要が回復しており、特に半導体など、先進国でも需要の多い製品で伸びが目立つ」と分析した。知識経済部でも、「世界の景気が回復に向かうなか、消費財の輸出が増えており、通年の貿易黒字も過去最高の400億㌦前後に達する」と予測している。
一方、輸入では消費財が前年同月比6・2%減と、減少率が今年初めて1けた台に下がった。品目別では、電子ゲーム機(233・5%増)とカバン(45・5%増)の輸入が急増した。内需市場の回復で、消費者の輸入需要は今後も増える見通しだ。
これとともに、資本財の輸入回復が目立つ。9月は半導体製造装置(31・4%増)や自動車部品(11・0%増)の輸入が増えたため、資本財の輸入減少率が今年最も低い13・5%に下がった。
このように輸出入に回復の動きが目立っているが、ウォン高や原油価格の上昇などの不安要因を指摘する声も少なくない。LG経済研究院は、「ウォン高に振れていることで、今後輸出製品の価格競争力が大きく低下する恐れもある」と指摘している。