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2009/10/23

<韓国経済>サムスン・LG電子、北米市場攻略に成功

  • サムスン・LG電子、北米市場攻略に成功

    サムスンなど、韓国電子メーカーが開発したモバイルデジタル放送技術が米国で標準化された

 サムスン電子とLG電子で共同提案した技術が、米国のモバイル機器用デジタル放送の技術標準を獲得した。北米デジタル放送標準化機構(ATSC)はこのほど、会員企業の投票により両社が開発した「ATSC‐M/H」をデジタルテレビ(DTV)技術標準に確定した。今後、北米市場で出荷されるDTV受信端末機に搭載され、関連メーカーは技術使用料を両社に支払うことになる。

 「ATSC‐M/H」は、LG電子の地上波デジタルテレビ受信技術(VSB)と、サムスン電子の移動受信技術(A‐VSB)を融合した技術。都心はもちろん、受信感度が低くなりがちな地下や山岳地帯、時速200㌔超で高速走行する車内でも、高画質デジタル放送の視聴が可能だ。

 また、周波数を別に確保せずに、既存の地上波デジタル放送をもとに、放送装備の性能を向上させることでモバイルDTVサービスが可能になるというメリットがあり、この点が、北米の放送会社に支持された。DTV技術では、日本の地上デジタル放送規格「ISDB‐T」や、欧州の「DVB‐T」などが世界で覇権を競っているが、北米地域では韓国勢に軍配が上がったといえる。

 今後、「ATSC‐M/H」は、北米地域の放送会社連合体「オープン・モバイル・ビデオ連合(OMVC)」に所属する800社のモバイルDTV関連企業が生産している携帯電話やポータブルDVDプレーヤー、MP3プレーヤー、車両用端末機などに、独占的に採用される。これで、サムスン、LG両社は、来年から本格化する米モバイルDTVサービス市場で主導権を握ることになった。

 両社は今年5月から共同開発を続けてきた。サムスン電子のA‐VSB技術は周波数を効率的に活用できる特徴があり、LG電子の技術は移動中の受信機能に優れていると評価されていた。両社はお互いの長所を活かせば技術標準を獲得できると判断し、共同で研究開発を進めた。

 LG電子が今年1月、ラスベガスの家電見本市(CES)で、モバイル機器向けデジタル放送受信チップ(縦×横8㍉)は、デジタル放送信号を映像、音響、データ信号に分離する機能を備えている。サムスン電子も最近、アンテナで受信した信号のなかから必要な周波数だけを選別するシングルチップを開発した。こちらはサイズが縦×横7・5㍉とさらに小型で消費電力も少ない。

 デジタル放送受信機能を持つモバイル機器を生産するメーカーは、両社のチップを購入したり、技術を使用する場合は使用料を支払う。LG電子の米子会社ジェニスは、地上波デジタルテレビ受信技術で年間1億㌦の技術使用料を得ている。モバイルDTV技術による経済効果も、これに匹敵すると予想されている。