韓国の建設企業が、中東で大型のプラント建設事業を相次ぎ受注している。GS建設が、UAE(アラブ首長国連邦)の首都アブダビで過去最高の31億1000万ドルで製油工場の建設プロジェクトを単独で受注したほか、SK建設やサムスンエンジニアリングも超大型事業を受注するなど、特需に沸いている。建設業界の海外受注総額は今年400億ドルに達する見込み。
GS建設はこのほど、UAE国営石油会社(ADNOC)の精製部門であるアブダビ石油精製会社(タクリア)が発注したルワイス精油工場の拡張工事を単独で受注した。これは、アブダビから西へ250㌔離れたルワイス石油化学団地内に1日当たり40万バレルの重油分解能力を持つ工場を2014年までに建設するもので、総額100億㌦が投入される大型事業だ。同社の受注額は、韓国企業が単独受注した海外プラント建設事業としては過去最大だ。
また、GS建設に先駆けSK建設も、タクリアから21億1700万㌦で原油精製工場の建設事業を受注した。先月末にはサムスンエンジニアリングがルワイス団地内でADNOC系列社から肥料工場建設事業を約12億㌦で受注したほか、7月にはGS建設と現代建設、現代重工業の3社が「アブダビ地域統合ガス開発施設工事」を総額49億200万㌦で受注している。今後、ルワイス製油工場拡張プロジェクトでは3~25億㌦規模の工事が3件計画されており、韓国の大企業5社が受注競争を繰り広げている。
韓国の建設企業が大型事業を相次ぎ受注している背景には、UAEのドバイをはじめ、クウェート、サウジアラビア、イランなど中東地域の大型工事で経験を積んだことが挙げられる。UAEはオイルマネーを武器に工場やインフラ整備事業を発注しており、韓国企業の呼び水となっている。
ドバイでは金融危機の影響で大型の住宅建設事業や商業ビル建設が中断されたが、アブダビは景気に左右されにくいプロジェクトが多いことも海外の建設業者にとっては魅力といえる。
海外建設協会の幹部は「アブダビでは、3000~6000億㌦規模のファンドが、海外への投資を避け、自国の建設事業に投資するケースが増えている。工場だけでなく道路などインフラ分野への投資が拡大しており、受注展望は明るい」と語った。
国土海洋部と海外建設協会によると、これで建設企業の海外建設受注額は323億㌦を超し、3年連続で300億㌦を突破した。これは海外建設が本格化した1965年以降では3番目に高い額で、年末まで400億㌦に達する見込み。97年のアジア金融危機以降2000年代初めまでは、年間受注額が50億㌦前後にとどまっていたことと比べると隔世の感がある。