東部(トンブ)製鉄が忠清南道(チュンチョンナムド)・唐津(タンジン)の牙山(アサン)に建設していた一貫製鉄所が竣工した。1兆500億ウォンを投じ、1年8カ月を経て完成した電気炉製鉄工場で、熱延鋼板の年間生産能力は世界最大の300万トン。長年の宿願である一貫製鉄所を完成させた同社は、製鉄だけでなく非メモリー半導体事業への参入を推進する方針で、今後、事業の多角化を加速させる。
牙山湾の工場敷地160万平方㍍(約50万坪)に竣工した電気炉製鉄工場は、単独の工場としては世界最大の熱延鋼板生産ラインを備えている。熱延鋼板の生産能力(年産300万㌧)としては、米製鉄2位ニューコアのバークレー工場の生産能力(250万㌧)を上回り世界トップだ。
電気炉は鉄鉱石や原料炭を主原料とする高炉製鉄と異なり、鉄スクラップを溶かして熱延鋼板を製造する。そのため工場の建設コストも高炉方式の3分の1で済み、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスや粉塵の排出量も少ない。
電気炉製鉄工場の完成により東部製鉄は、ポスコ、現代製鉄に次いで韓国3番目の一貫製鉄所を構えることになり、熱延鋼板から高級製品の自動車用鋼板や造船用厚板にいたるまで、あらゆる鉄鋼材の生産を開始する。
同社の金俊起(キム・ジュンギ)会長は竣工式で、年産100万㌧の電気炉を追加で建設し、熱延鋼板の生産能力を年間1000万~1200万㌧規模に拡大する計画を明らかにした。
東部製鉄は、製鉄に続き半導体事業の拡大にも意欲を見せている。金会長は、「韓国は年間50億~60億㌦の非メモリー半導体を輸入しているが、国内で生産される非メモリー半導体は約5000万㌦程度に過ぎず、年間50億~60億㌦規模の非メモリー半導体を輸入している」と指摘、「半導体と製鉄は未来型産業である」と強調し、製鉄に続く育成分野として半導体を挙げた。
金会長は先月、産業銀行が主導するPEF(構造調整ファンド)に対して、東部ハイテクの子会社で合金鉄メーカーの東部メタルを売却する計画を撤回した。その代わりに私財3500億ウォンを投じ、東部ハイテクが保有する東部メタル株のうち50%を買い取ることを表明するとともに、東部ハイテクの化学、農業・肥料事業、不動産を売却し、半導体部門を企業として独立させる方針だ。
市場関係者の間では半導体部門の借入金が現在、1兆9000億ウォン規模に達し、返済は難しいのではないかとの懸念も出ている。これに対し金会長は、「半導体以外の各系列社は優良企業で、東部ハイテクの負債を4000億ウォン程度に減らす案について検討を進めており、自力による構造調整が可能だ」と語った。