韓国政府は車や家電などハイテク製品の製造に欠かせないレアメタル(希少金属)の技術と資源確保のための総合対策を確定した。2018年までにリチウムやインジウムなど10大希少金属を素材化する加工技術を開発し、現在12%にとどまる自給率を80%へ引き上げる計画だ。産業界でも鉄鋼最大手のポスコなどがレアメタル部門への大規模投資計画を発表した。
知識経済部はこのほど、ポスコの鄭俊陽(チョン・ジュニャン)会長やLS-ニッコー・カッパーの具滋明(ク・ジャミョン)・副会長ら鉄鋼メーカー有力者が参加するなか「レアメタル素材産業発展のための総合対策」を発表した。埋蔵量が極めて少なく地域的にも偏在している希少金属(35種)を確保するため、アフリカや中国などで資源開発を進めるとともに、希少金属の原鉱石を国内で先端製品素材として加工できる技術や、再利用技術の開発に力を注ぐ方針だ。
レアメタルは、LED(発光ダイオード)や2次電池、液晶パネル、エコカー、風力発電などのハイテク・環境・新成長産業で幅広く使われている。しかし、埋蔵量の80%は中国をはじめ、カナダ、旧ソ連、豪州、米国など5カ国に偏在している。
政府は今回の対策で、2018年までに3000億ウォンを投じて10大希少金属を素材化する40の核心源泉技術を開発することを優先課題に挙げた。また、クロムなど6種の希少金属を準戦略鉱種に指定し、海外資源開発融資金に準ずる財政支援を行う方針だ。
現在、25社ほどのレアメタル専門企業を18年まで100社に増やすほか、部品・素材のM&Aファンドを活用して海外のレアメタル関連企業の買収や合併も積極的に進める。また、全羅南道(チョルラナムド)の光陽(クァンヤン)湾周辺地域と忠清南道(チュンチョンナムド)の湯井(タンジョン)をレアメタル産業の開発拠点に育成する。
このほか、資源確保のために南アフリカ共和国やジンバブエなどに調査団を派遣して資源外交を進めるほか、世界最大の希少金属埋蔵国である中国との間でハイレベルの外交協力チャンネルを構築する。その一方で、国内でもタングステンやモリブデン、チタン合金、稀土類、マグネシウムなど5鉱種の埋蔵量を調査し、15年までに1800万㌧の採掘可能な埋蔵量を確保する計画だ。
産業界も政府の方針に歩調を合わせ、積極的な投資計画を打ち出している。ポスコは18年までに2兆8000億ウォンを投じ、▽レアメタルなどの非鉄金属▽非晶質合金▽炭素素材▽次世代の新素材▽リサイクルの5大事業を育成し、「グローバル総合素材メーカー」に発展する計画を発表した。LS-ニッコー・カッパーも20年までに5000億ウォンを投じリサイクル専門会社を新設する計画だ。
▼10大レアメタル(希少金属)とは ニッケル、タングステン、マグネシウム、インジウム、白金、コバルト、リチウム、希土類、ガリウム、チタンなどを指す。