企画財政部は複数住宅保有者への重課税負担軽減などを骨子とする「経済活性化のための税制改革案」を発表した。不動産市場の停滞を招いたとの批判を受けている前政権の懲罰的な譲渡税重課制度を廃止し、景気回復と民生安定を図ることが狙い。改正法の施行は4月の臨時国会での法改正案成立が前提となるが、譲渡税緩和については法案成立とは関係なく今月16日以降の取引から前倒し施行に入った。
今回の税制改革案で注目されているのは譲渡税に関する内容だ。従来の制度は2軒の住宅を所有する人には50%、3つ以上の住宅を保有する者には60%の税率が適用されていた。それが昨年12月の譲渡税緩和方針で2軒所有者については2010年まで基本税率(6~35%)を適用し、3軒以上の所有者には45%の税率を来年まで一時的に適用するとしていた。
今回の改正で、3軒以上の住宅所有者にも基本税率が適用され、2軒所有者への期限付き緩和措置が11年以降も継続する。基本税率の上限は、10年から33%に引き下げられ、個人や法人が非事業用の土地を譲渡する時に課される重課税率も廃止される。
例えば、住宅3軒を所有している人が2年以上所有していたマンション1軒を売って1億ウォンの譲渡差益を得るとしたら、45%の税率が適用され、4344万ウォン(住民税込み)を譲渡税として支払わなければならなかったが、今後は09年度内に売ると1979万ウォン、10年以後に売ると1884万ウォンを支払うだけでよいことになる。これで、譲渡税の負担が55~57%ぐらい軽減される。
非事業用土地に対する譲渡税率も、個人の場合はこれまで60%(住民税を含めると66%)が適用されたが、16日からは基本税率で課税される。
また、法人が非事業用の土地を売却する時に課される税率は法人税(11~22%)に譲渡税30%が追加で課されていたが、16日からは法人税(10年以降は10~20%)のみ課税される。
これに合わせ政府は企業の構造調整が迅速に行われるよう、IMF通貨危機当時に期限付きで施行していた企業構造調整税制を2年間復活させることにした。
さらに外貨流動性を拡充するため、韓国に居住していない人や外資系企業が国債や通貨安定基金債券に投資すれば、利子に対する所得税や法人税を免除する特典を与える。在外同胞など国内非居住者が16日から来年2月11日までに取得する住宅については複数住宅重課税制度を適用せず、韓国人と同じく5年間は譲渡税を減免もしくは免除する。
政府がこのように譲渡所得税の重課税制度を撤廃したのは、複数の住宅を保有する人の譲渡差益を増やすことで不動産取引を活性化しようという理由からだ。資産デフレによる景気低迷もより深刻化する兆しを見せていることも背景にある。
今回の方策で「重課税で不動産価格を安定させる」という前政府の税制は白紙化したが、野党と一部の市民団体からは「過剰な不動産投機を助長する恐れがある」などと反対の声も上がっている。