低迷した不動産市場の活性化のため、韓国政府は8月29日、「実需要住宅取引の正常化と庶民・中間層の住居安定のための支援策」をまとめた。支援策では、ソウル市の江南3区(江南区、瑞草区、松坡区)を除く非投機地域で、マイホームを持たなかったり、住宅を1戸のみ所有している低所得層を対象にDTI(総負債償還比率)を来年3月までで廃止することが決められた。
企画財政部、国土海洋部、金融委員会によると、一部地域のDTI比率が廃止され、融資基準は各金融機関の自主適用に委ねられた。
DTI規制とは、住宅ローンの元本や利息の返済額が、年間世帯所得の50~60%を超えないように定めた規制だ。今回の総合支援対策を受け、各金融機関では、9月中に新たな融資基準をまとめ、住宅ローンの販売に乗り出す方針だ。
これと関連しDTI限度を明記した融資内規を見直し、限度を上回ることがないようコンピューターシステムを整備する。早ければ9月半ばから、以前のDTI限度を超えた住宅ローンができる見通しだ。
反面、金融機関では主な収益源の一つである住宅ローンの増加が延滞率上昇につながりかねないという懸念もでている。
政府は、無分別な住宅担保融資を規制するために、資産に対する借入比率であるLTVは現行どおりに維持することを決めた。
LTVによる融資限度は、投機地域40%、首都圏50%、その他の地域60%だ。例えば、夫婦合計の年間所得が5000万ウォンの世帯が、ソウル龍山区にある9億ウォンのマンションを購入する場合、LTV限度である4億5000万ウォンまで銀行から融資を受けることができる。
国土海洋部の関係者は「(DTI緩和を)来年第1四半期(1~3月)まで一時的に適用するのは、引越しシーズンである今年の秋、来年の春、冬休み期間の取り引きを活性化するためだ。マイホームを持たない人や住宅1戸のみ所有する世帯が首都圏の91%である点を考慮すれば、庶民が恩恵を受ける措置だ」と述べた。
金融機関が内規改正など、関連手続きを完了次第、早ければ今月中旬から適用される見通しだ。
不動産関連の税制支援も拡充される。年末に終了する多住宅者譲渡税の重課税猶予制度は2年延長されて2012年末まで一般税率(6~35%)が適用される。住宅取得・登録税50%減免期間も、2011年まで1年延びる予定だ。
政府の対策により、低所得層にとっては、住宅購入のチャンスが広がった。資金支援も大幅に拡大される。
まず「生涯最初の住宅購入資金」支援を2005年以来、5年ぶりに復活させ、来年3月末まで施行する。支援条件は、世帯を構成する全員が住宅所有の経験を持たない世帯であること、夫婦合算の年間所得が4000万ウォン以下であることだ。
支援条件を満たした世帯は、85平方㍍以下及び6億ウォン以下の住宅購入に限り、国民住宅基金から年5・2%で限度額2億ウォンの融資を受けられる。
マイホームを持たない世帯、1戸のみ所有する世帯に対する住宅資金の支援範囲は、今年の「4・23対策」より広がり、購入者の年間所得が「4000万ウォン以下」から「5000万ウォン以下」へと変更されている。