サムスン電子の崔志成(チェ・ジソン)社長は、ベルリンで開かれている家電見本市「IFA2010」を訪問後に記者団に対して、「今年の過去最高の業績を土台として、電子産業のビッグバンの主導権を握りたい」と抱負を語った。同社の2011年の投資需要は30兆ウォンに達する。投資規模は2010年の26兆ウォンを上回る規模だ。
崔志成社長は、世界の電子業界の流れについて「モバイル、メディア、アプリケーションの3大ビッグバン時代を迎えた」との認識を示すと共に、新たな経営環境に対応して来年、合計30兆ウォンの投資を行って電子業界のビッグバンで主導権を握る計画を発表した。
崔社長は、携帯電話で始まりスマートフォンなどに進化しているモバイル・ビッグバンに対して、「2020年にコンピュータ機器が数百億台に急増、さらにIT(情報技術)と他産業の融合が加速化して、モバイルライフスタイルが広がるだろう」と分析している。
メディア、アプリケーションのビッグバンについては、伝統的なアナログメディアがインターネットテレビをはじめとする新しいメディアへ移行する、様々なアプリケーションの開発・流通・消費が拡大すると指摘した。
同社の今年の投資額は26兆ウォンで、その内訳は、設備投資18兆ウォンとR&D(研究開発)投資8兆ウォン。設備投資の内容は、半導体11兆ウォン、LCDパネル5兆ウォン、携帯電話とテレビ2兆ウォンだ。
R&D投資は携帯電話やテレビなどの既存事業のほか、太陽電池など新事業に対して行われる。
サムスン電子は今年、過去最大の実績を上げると予想されているうえ、李健熙(イ・ゴニ)会長をはじめ最高経営陣が積極的な投資意欲を示している。各事業部の要求を100%受け入れ、設備とR&Dを合わせた総投資額は30兆ウォンを超えることになる。このような大規模な投資を通じて、他社との格差を広げる戦略だ。
来年度の投資は毎年固定化されている半導体、LCDパネル、携帯電話などのラインの新・増設が大きな比重を占めるが、今後新事業への投資が増える見通しだ。
李会長が今年3月に経営現場に復帰した後に社長会議の初テーマとして「新事業」を選んだ。
供給過剰が指摘されているLCDパネルと価格下落が進行中の半導体に対して、崔社長は「問題ない」と判断している。「半導体は4年、LCDは2年周期の需要サイクルをもっている。このような点を十分に勘案し、事業計画を策定した」と説明した。
証券業界はサムスン電子の第3四半期(7~9月)の業績について「良好」と予想しながらも、半導体とLCDの価格下落を不安要素として挙げていた。だが、サムスン電子が今年、売上150兆ウォン、営業利益20兆ウォンを達成する可能性は、一層高くなっている。
崔社長は「サムスン電子は果敢な先行投資、プレミアム製品の強化、積極的な新興市場への参入によって成長を持続していく」と話した。
3Dテレビについては、発売から6カ月で業界最高の100万台を販売した。LEDテレビは今年1000万台を販売し、業界トップの座を維持すると見られている。
今後、「家電にデジタルコンバージェンス技術を結合させた『スマート家電』で差別化し、欧州市場で地位を確固にする計画だ」と明らかにした。