知識経済部が発表した3月の輸出入動向(速報)によると、輸出額が前年同月比35・1%増の376億8000万ドル、輸入額が48・4%増の354億9000万ドルで、貿易収支は21億9000万ドルの黒字を記録した。輸出は半導体や自動車部品などが好調で、世界金融危機前の水準に回復した。ただし、対ドルレートがウォン高に振れていることや、原材料価格の上昇など懸念材料もあり、今後の展望は楽観できないとの見方も出ている。
3月の輸出は新興市場の需要回復を受け、半導体が前年同月比で123・8%増となったほか、自動車部品(105・5%)、自動車(62・5%)、家電が(56・0%)などと、船舶と無線通信機器を除く主力品目が善戦した。
輸出先別では、中国向けが61・8%増、東南アジア諸国連合(ASEAN)向けが47・5%増と、開発途上国向け輸出が大幅に増えた。日本、米国、欧州連合(EU)向けも増加したが、チリ大地震の影響で中南米向けは前月比46・9%減少した。
また、輸入では半導体製造装置や鉄鋼製品など、輸出用の原材料や設備部品増えた。これらは輸出の伸びに比例して増えるため、「生産的輸入」と呼ばれている。半導体製造装置が287・5%増えたほか、鉄鋼製品(29・7%)、原油(81・5%)、非鉄金属(79・7%)、石油製品(41・4%)の輸入が増加している。
知識経済部は、「4月以降の貿易環境には不安要因もあるが、海外需要の回復、中国の『家電下郷』(家電製品の農村普及)拡大などで、半導体やディスプレーを中心に通年で200億㌦の貿易黒字達成は可能だ」と展望している。
ただし産業界では、ウォン高が急速に進むと、輸出競争力の減退が避けられないとの懸念が聞かれる。ウォンの対ドルレートは1年前に1㌦=1600ウォンまでウォン安が進んだが、最近は30%ほどウォン高に振れている。知識経済部の金景植(キム・ギョンシク)・貿易投資室長は昨年の企業調査をもとに、「輸出企業が乗り切れる為替レートは1122ウォン前後」と指摘している。
現在、1㌦=1120ウォン台後半のレートがさらに上昇すると、輸出企業への打撃も大きくなる。現代・起亜(ヒョンデ・キア)自動車の場合は、海外販売の割合が全体の80%に達しているため、対ドルレートが10ウォン切り上がると、売上が2000億ウォン減少するとされる。利益減少は海外マーケティングの弱体化につながり、シェア拡大が難しくなる。
LG経済研究院によると、世界市場における韓国の輸出シェアは、昨年上半期の3・0%から下半期には2・8%に下落した。この現象は、ウォン高の影響によるものと分析されている。
原材料価格の上昇も輸出企業にとっては悩みの種だ。原油価格が昨年の最低価格から2倍以上も上昇しているほか、鉄鉱石や銅など産業用原材料の値上げも続いている。これにより今後、貿易収支の悪化が懸念されている。
また、中国、日本、台湾など輸出競争国が回復傾向を見せ始めたことも韓国企業には脅威だ。中国市場では両岸関係の改善で進出を加速させている台湾企業に、米国市場では日本・中国企業とシェア争奪戦を繰り広げている。さらに中国やインドなど新興国が輸入規制を強化しており、海外進出を加速させている韓国企業は悩みが大きい。