韓国の第1四半期(1―3月)の経済成長率が8%を超えた。金融危機からの急速な回復に対して、IMF(国際通貨基金)やOECD(経済協力開発機構)など国際機構からは金利引き上げを求められている。だが、政府は南欧の財政危機、石油など国際的な原材料価格の高騰、為替不安といった不確実性要因を考慮し現在の政策を持続する姿勢を示している。
韓国銀行は、第1四半期の実質GDPが前年同期比で8・1%、前期比では2・1%増加したと、暫定値を発表した(今月4日)。前年同期比の増加率は2002年の第4四半期(10~12月)以来、最も高い数字だ。同行が4月に発表した速報値(7・8%)より0・3ポイント上方修正されている。韓銀では「速報値の発表時点では3月の産業活動を推定したが、今回は実績値を使った」とし、「3月は製造業生産と建設業が予想以上活発であり、輸出が好調であったため速報値よりも高い成長率が出た」と説明している。
製造業生産は前期比で4・2%、前年同期比では20・7%増加となり、それぞれ速報値の3・6%(前期比)、20・0%(前年同期比)を上回った。民間消費も、1年前に比べて6・3%増加、設備投資は29・9%伸びるなど、生産と消費、投資が景気回復を牽引したといえる。
さらに実質GNI(国民総所得)も前年同期より8・9%増加し、10年ぶりに最高値を記録した。しかし、前期比では0・9%増にとどまった。その要因は、原油高など海外取引条件の悪化により、実質的な貿易損失が昨年より膨らんだことにある。
韓銀は「今年4~5月は輸出入の増加に加え、産業生産も堅調な成長傾向を示している。そのため第2四半期(4~6月)にも前四半期比でプラス成長が予想される」とし、下半期も成長に勢いがつき、上半期比で1・0%増となると見ている。釜山で4~5日に開かれたG20(主要20カ国)会議に参加したグリア・OECD事務総長は、「韓国は強い景気回復傾向を見せており、金利の引き上げが必要だ。韓国が目標範囲内で物価上昇率を維持するには、政策金利の正常化が重要になる」と指摘した。ドミニク・ストロスカーンIMF専務理事も「経済回復を後押しする通貨政策の維持とともに、金利の正常化を開始する余地がある」と強調した。バークレイズやモルガンスタンレーなど、外国の投資銀行は、韓銀が第3四半期(7~9月)中に金利引き上げを実施すると予想している。
しかし、企画財政部の報告書「最近の経済動向」では、「南欧の財政危機や哨戒艦沈没事件などで金融市場の変動性は拡大した」として、韓国経済の不安要因を強調。「対内外の不確実性を考慮し、当分は現在の政策を堅持する。その一方で企業の構造調整を促進し、財政健全性の向上など経済体質の改善を促進する」としている。金利引き上げは当分の間考慮されない見通しだ。