韓国の建設業界がブラジルやリビアの鉄道事業に参入するなど、海外の大型建設事業への投資を活発化させている。国土海洋部によると、コレイルなどがブラジルの高速鉄道(24兆ウォン規模)とリビアの地下鉄建設(5兆ウォン規模)への入札を進めている。欧州や日本、中国の有力企業との競争になるが、韓国は地下鉄の建設経験と最先端の建設工法をアピールして受注をめざしている。
国土海洋部が対外経済長官会議で確定した「海外建設現況と活性化案」によると、ブラジル高速鉄道計画は、リオデジャネイロ~サンパウロ~カンピーナスの主要3都市の520㌔を2時間弱で結ぶもので、総事業費は約24兆ウォン。ブラジル政府はサッカー・ワールドカップが開催される2014年に一部区間を開通した後、オリンピックが開かれる16年までの全線開通を予定している。
同国陸上交通庁(ANTT)は2月から5月まで各国企業から事業提案書の提出を受け、6月に受注業者を最終選定する。現在、韓国のコレイル・コンソーシアムのほか、ドイツ、フランス、スペイン、日本などが入札を進めているほか、今年に入り中国も関心を見せており、今後、受注競争が一段と加熱しそうだ。
韓国企業は、コレイルのほか、韓国鉄道施設工団、現代ロテム、LS電線、サムスン物産の建設部門、SK建設などで構成されている。京釜(キョンブ)高速鉄道と湖南(ホナム)高速鉄道の建設で培った技術力を背景に、建設コストを他国より20%程度低く見積もり、工期短縮をアピールする方針だ。
李明博(イ・ミョンバク)大統領も08年11月、財界有力者を連れて同国を訪問し、ルラ大統領と相互協力で合意したほか、ブラジル政府も韓国側に技術移転を求めるなど両国関係も良好だ。このため、政府は受注に自信を見せるが、中国や日本も国を挙げて受注をめざしているだけに、楽観は許されない。
一方、リビアの地下鉄建設事業は、首都トリポリに地下鉄3路線を建設するもので、事業規模は5兆ウォン。3月に最終事業者が選定されるが、現在フランスとドイツのコンソーシアムとイタリア、中国が競合している。
建設予定の3路線のうち1つは新空港と都心を直結する路線。韓国としてはソウル市内と仁川(インチョン)国際空港を結ぶ地下鉄建設の経験があるだけに、政府内では競争国より有利ではないかとの期待が高い。
韓国政府は2012年までに世界の建設大国トップ10入りをめざすという目標を立て、今年は海外建設事業の受注に総力を挙げる。昨年、韓国建設業界の海外受注は過去最大の491億㌦に達した。これを12年までに700億㌦規模に拡大し、世界シェアを2・9%(08年基準、世界13位)から5%台に引き上げる。
また、海外受注力を高めるために、企画財政部、外交部、知識経済部、国土部などの政府関係部署と、輸出入銀行、輸出保険公社、KOTRA(大韓貿易投資振興公社)、海外建設協会などからなる協議会を設け、専門家の育成などを強化する。具体的には海外プラント建設専門家1400人を1900人に増員するほか、発注元となる国の公務員とのネットワークや海外人材データベースの構築、研修機関の運営などを推進する。