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2010/02/12

<韓国経済>韓国大企業・太陽電池事業に本腰

  • 韓国大企業・太陽電池事業に本腰

    LG電子は年初に量産ラインを稼働し、太陽電池の生産を本格化している(慶北・亀尾工場)

 韓国の大企業が、次世代の環境産業として注目される太陽電池事業に力を注いでいる。現代重工業は原材料のポリシリコンから太陽電池まで製造できる一貫生産体制を確立し、LG電子は量産体制を拡張する。サムスン電子は、光を電気に変換する効率が高い新製品を開発した。近い将来、2000億ドル以上に成長するといわれる太陽電池市場で、世界トップテン入りをめざしている。

 現在、太陽電池分野で先頭を走る企業は現代重工業だ。2004年に研究組織を立ち上げ、忠清北道(チュンチョンブット)・陰城(ウムソン)工場などに太陽電池とモジュールの量産体制を築いている。太陽電池は年産33万㌔㍗、モジュールは20万㌔㍗の生産能力を持つ。今年は、陰城工場だけで売上高が1兆ウォンを超える見込みだ。

 同社の強みは原料のポリシリコンから、インゴット・ウエハー、太陽電池、モジュール、発電システムに至る一貫生産体制を構築したことだ。同社は2012年までに生産能力を年産100万㌔㍗に引き上げる計画だ。

 LG電子は年初に国内2番目の規模となる年産12万㌔㍗の量産ラインを立ち上げ、シリコンウエハーを利用した結晶型太陽電池を製造している。サイズ1㍍×1・6㍍の太陽電池モジュールを年間52万枚生産できる能力がある。さらに2200億ウォンを投じ、来年までに同様の生産ラインを1基増設する計画も進める。

 また、一般住宅向け軽量製品や、採光機能を強化したビル用パネル型電池、大きな荷重に耐える製品なども開発した。同社製品の光変換効率は17・5%だが、今後20%を超える新製品の開発に力を入れている。

 サムスン電子は一貫生産体制の構築をめざす方針だ。昨年9月、年産3万㌔㍗の太陽電池研究開発ラインを半導体工場のある京畿道(キョンギド)・器興(キフン)事業場で稼働した。光変換効率が高い結晶型を中心に、試作品の開発を進める。

 同社は最近、一般的なスクリーン印刷工程を利用し、業界最高水準である光変換効率18%の結晶型太陽電池の開発に成功した。また、最高出力255㍗のモジュール製品の量産に着手するほか、コーニングとの合弁企業で太陽電池基板ガラスの開発とポリシリコンの生産を開始する。

 このほか韓国政府が経済・科学の拠点化をめざしている世宗(セジョン)市に、1兆1200億ウォンを投じて太陽電池の生産設備をすべて備えた量産工場を建設する計画も進行中だ。

 原料のポリシリコン、ウエハー、太陽電池モジュールなどを含めた関連産業の世界市場規模は今年中に1800億㌦に達し、来年は2200億㌦を超える見通しだ。世界では中国、欧州、日本などの企業間でし烈な開発競争が続いている。韓国企業も生産能力を拡充して、世界シェアを高める戦略だ。