韓国石油大手のSKエネルギーとGSカルテックスが、ノートパソコンや携帯電話などのモバイル機器や電気自動車に使われる2次電池(充電池)の素材開発事業に参入する。2次電池の4大核心素材である分離膜、陰極材、陽極材、電解質の開発を進め、日本のメーカーがシェアを独占している世界市場への参入をめざしている。
知識経済部と関連業界によると、GSカルテックスは全量を輸入に頼っている陰極材の開発に力を注いでいる。先月、LSエムトロンが陰極材の開発に成功しており、同社は韓国企業としては2番目となる。
陰極材は充電時にリチウムイオンを貯蔵し、放電時にこれを排出して電気を発生させる役割をする。2次電池の製造原価に占める割合は5~10%にすぎないが、4大核心素材のなかで唯一国産化が進んでいない材料だ。
その理由は原料に使用する黒鉛の大量確保が難しいうえ、加工技術で日本メーカーに遅れを取っているためだ。この分野では、日立化成、日本カーボン、JFEなどの日本企業が80%以上のシェアを確保している。
これに対し、GSカルテックスは、基礎材料に黒鉛ではなく、カーボン(炭素)素材を採用することで差別化を図っている。今年下半期までに試作品を完成させる計画だ。
業界では電気自動車向け大型電池の需要増により、陰極材の市場規模は現在の5000億ウォンから、2015年には1兆4000億ウォンに拡大すると予想されている。知識経済部は、LG化学やサムスンSDIなどが陰極材の確実な買い手となることから、国内メーカーの展望は明るいと見ている。
GSカルテックスは陰極材のほか、燃料電池、薄膜電池、水素ガスや液体水素を充填する施設の水素ステーションなど、新・再生エネルギー事業への投資を拡大する。
一方、SKエネルギーは、核心素材のなかで販売単価がもっとも高いとされる分離膜の開発を進め、この分野で世界市場を10年にわたり独占している旭化成(シェア40%)と東レ(同30%)との格差を一気に縮める戦略だ。
分離膜は2次電池内の陽極材と陰極材を分離し、電極間の電気的接触を防ぐ役割をする。2次電池の製造原価の15%程度を占め、世界の市場規模は2015年に2兆ウォンに拡大する見通しだ。
同社は04年に世界で3番目に分離膜の開発に成功し、忠清北道(チュンチョンプッド)・清州(チョンジュ)工場で年産8400万平方㍍の生産ラインを稼働しており、今年の上半期に増設が完了すると、生産規模は旭化成に匹敵する1億平方㍍に拡大する。同社は05年から分離膜製品の生産を本格化し、昨年末までにシェアを15%に引き上げている。
スマートフォンや電気自動車など2次電池を用いる産業が相次ぎ登場するなか、核心素材の需要は増大している。韓国メーカーは世界市場の推移を見守りながら、生産ラインの増設に向けて投資を拡大する方針だ。