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2010/03/19

<韓国経済>サムスン生命が5月上場へ

  • サムスン生命が5月上場へ

    サムスン生命保険の上場はサムスングループの構造改革にも大きな影響を与える

 韓国証券市場で生命保険最大手のサムスン生命などの大型上場が相次ぎ、勢力構図が変動する兆しを見せている。すでに大韓生命も今月17日に上場しており、IT(情報・技術)株の独走が続いた証券市場が、金融株の台頭で2強体制に再編されることになる。5月に予定されるサムスン生命の上場は、サムスン・グループの構造改革にも影響を与えると見られ、今後の展開が注目される。

 サムスン生命は韓国取引所の有価証券市場本部から上場を認められ、今月26日に金融監督院に有価証券申告書を提出する予定だ。手続きが順調に進めば、5月12日にも上場する。上場株式数は2億株で、韓国投資証券や米ゴールドマン・サックスなどが主幹する。

 公募価格は10万ウォン以上となることが確実だ。推定時価総額も21兆ウォンを超え、調達額としては過去最大となる。これにより同社は、現在、時価総額5位の新韓持株会社(20兆8647億ウォン)と6位のKB金融(20兆902億ウォン)を抜き、サムスン電子、ポスコ、韓国電力、現代自動車に次いで5位にランクインする可能性が高い。大韓生命も時価総額7兆ウォンと推定され、30位のハナ金融(7兆970億ウォン)と肩を並べることになる。

 証券市場では、生命保険大手の相次ぐ上場により、金融株の時価総額が現在の137兆ウォンから164兆ウォン台に拡大し、IT株(193兆ウォン)との格差が縮まる。IT株の独走に「待った」がかかることになる。

 さらに、金融界でも保険株の勢力が拡大する。両社の上場により、保険株の時価総額は20兆ウォンから約47兆ウォンに増え、証券株(21兆ウォン)を抜き、金融持株会社を含む銀行株(81兆ウォン)に次ぐ勢力に浮上する。証券市場全体の時価総額も現在の967兆ウォン水準から一気に1000兆ウォン台に上昇する見通しだ。

 一方、サムスン生命の上場で注目されるのが、巨額の債務を抱えるルノー・サムスン自動車への影響だ。現在、同社債権団は313万株のサムスン生保株を保有している。今回の上場で、1株当たりの配当金が100万ウォンになると、債権団が保有する株の価値は3兆1300億ウォンに拡大し、債務の遅延利子6%を含む巨額の債務を償還できる。これにより、サムスングループの構造改革も加速するとみられる。

 ただし、サムスン生命株は上場当初は「KOSPI200指数」には編入されないため、市場では混乱が予想される。

 「KOSPI200指数」は、韓国取引所に上場している銘柄のうち、流動性が高く、時価総額の大きい200銘柄で構成されている。サムスン生命の編入資格はあるが、上場後30営業日を通過しなければならないという規定により、編入時期は9月以降となる。

 このため、総合株価指数(KOSPI)が上昇しても、KOSPI200が下落する逆転現象が起こるなど、KOSPI200が市場動向を正確に反映できなくなるとの指摘もある。また、KOSPI200と連動する上場指数ファンド(ETF)や、株価連係証券(ELS)などの商品価値が大きく下がる可能性も指摘されている。市場では、「例外規定を設けて、編入時期を操り上げるべきだ」との声も出ている。