韓国政府はこのほど、異業種間での技術融合と次世代製品開発を促進させる「産業融合促進法」を制定する方針を決めた。産業界では、血糖値の測定ができる携帯電話や、フォークリフト搭載のトラックなど、異業種間での製品開発の動きが拡大しており、技術融合を妨げる法律の是正を求める声が高まっている。政府も業界の国際競争力を高めるため、新法の制定を急いでいる。
LG電子は2004年に、IT(情報技術)とBT(生命技術)を融合させて、血糖値の測定と投薬の管理ができる携帯電話「糖尿フォン」を開発した。しかし、この製品は医療法では医療機器に分類されるため、いまだ発売できない状態だ。
フォークリフトメーカーのSM重工業は08年に、貨物が積載できる「トラック・フォークリフト」を開発した。会社側は建設機械として承認申請をしたが、政府当局から「特定自動車もしくは建設機械に指定する基準がない」という理由で登録を拒否された。結局、製品承認が4カ月以上も遅れたため、海外からの注文がキャンセルされ、60億ウォン以上の損失を出した。
このようにスマートフォン(多機能携帯)や知能型自動車など、業種間の壁を越えて技術開発を進める産業融合は世界的なすう勢だ。しかし、企業が苦労して技術融合におる新製品を開発しても、関連法が整備されていないため、販売が遅れたり、商品化をあきらめるケースが増えている。
大韓商工会議所が1346社に対して行ったアンケート調査では、回答企業の41%が「技術融合製品の商用化を進める過程で、関連法や基準がないため、発売を見送ったことがある」と答えた。特に大企業では4社中1社が、製品の許認可が不許可となったり、承認が遅れた経験があると回答した。また、これによる経済的損失もばく大で、「1億ウォン未満」との回答が最多の30・4%を占め、「10億ウォン以上」も8・9%に達した。このため、産業界では、業種ごとに制定されている従来法の限界を指摘する声が強くなっている。
このため、知識経済部は専門家20数名からなる産業融合促進法推進委員会を発足させ、本格的な法整備に着手した。来月中に法案をまとめ、法制署の審査を経て、早ければ9月中に国会へ提出する方針だ。具体的には、政府内に国務総理が中心となり各部署の長官が参加する「産業融合発展委員会」を設け、融合製品の開発過程で発生した問題点を確認する。また、迅速な解決方法を模索する「産業融合促進企画団」も構成する。
さらに、認証・監督機関による分類が不明な技術融合製品に対しては、基準となる規格が制定されるまで一時的に製品登録を認める「融合新製品認証制度」も制定する。
スイスのコンサルティング会社デロイトによると、技術融合の世界市場規模は2008年時点で8兆6000億㌦に達している。これは、韓国のGDP(国内総生産)より8~9倍も大きい。今後も市場拡大が続き、2018年には61兆㌦に成長する見通しだ。