韓国政府は、国内サービス産業を輸出産業に育成する方針を固めた。李明博大統領が主宰する国家雇用戦略会議はこのほど、将来的に成長が期待できるサービス産業として▽デジタルコンテンツ・メディア▽社会サービス▽観光・レジャー▽教育・R&D(研究・開発)▽保健・医療の5分野を選定した。今後、大規模な金融・税制支援を行い、2015年までにサービス産業の輸出を昨年の約1・7倍の1000億㌦に拡大し、20万4000人分の雇用機会創出をめざしている。
企画財政部によると、韓国製品の世界シェアは、商品輸出が2・7%だがサービス輸出は1・9%と相対的に低い。また、韓国のサービス産業が輸出全体に占める割合は15・1%(2008年基準)で、英国の44・7%や米国の33・6%より低く、日本の21・4%をも下回る。このため、これまで内需重視とされたサービス産業を輸出産業として育成する方針だ。
まず政府は、サービス輸出に対する政策支援としての融資規模を13年までに昨年の約3倍となる3500億ウォンに拡大する。映画、コンピューターグラフィック(CG)、インターネットを利用した教育サービス、大学の海外分校や病院の海外分院の設置などに2380億ウォンを追加で支援する。さらに、輸出支援制度をサービス産業にも適用する。
若年層の雇用創出につながる「デジタルコンテンツ・メディア・3D」産業の育成にも力を注ぐ。大統領直属の未来企画委員会が国家雇用戦略会議に提出した資料によると、携帯機器向けソフトウェアを販売する「アップストア」の世界市場規模は、昨年の42億㌦から13年には295億㌦に拡大する見込みだ。今後、有能なプログラマーの養成が求められる。
政府は今後3年間、総額5000億ウォンの予算を確保し、機器・ソフトメーカー(大企業)が、コンテンツ開発会社(中小企業)とコンソーシアムを組んで各種サービスを開発する場合、製作費の20%まで支援する。
これとともにCGなど先端技術の研究・開発費を14年までに約2倍の400億ウォンに増額する。コンテンツの開発を行う個人業者(ソーホー)に対しては最大4000万ウォンを支援する。個人業者数も現在の3万7400人から14年までに5万人に増やす計画だ。
メディア産業では、スマートフォン(多機能携帯電話)の普及を拡大するため、無線LAN利用地域を2倍に拡大する。高速通信のモバイルワイマックス(ワイブロ)提供地域も年内に5大広域市に拡大し、来年は全国84市・地域まで広げる。
また3D産業については、今年10月から地上波で3D実験放送を始め、13年から本放送を開始する。15年からはメガネ不要の3Dテレビ放送を開始し、20年にホログラム技術による3D放送を実現させるという構想だ。
政府は14年までにコンテンツ産業で約3万人、メディア産業で約1万人、3D産業で約4万人の合計8万人の雇用が創出できると目論んでいる。