韓国経済の回復をけん引している輸出の構造に変化が起きている。知識経済部と関税庁の輸出統計によると、今年の第1四半期(1―3月)実績で、米国と日本への輸出が急増している半面、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)など新興国向け輸出の伸びが鈍化する様相を呈している。輸出品目別では、昨年不調だった一般機械、家電製品、自動車が今年は増加に転じている。
対米輸出は昨年、第1四半期に25・2%も減少し、第3四半期(7~9月)まで下落傾向が続いた。しかし、第4四半期(10~12月)から11・7%増に転換し、今年の1月以降、増加幅が毎月拡大している。特に、3月は30%以上(速報値)も増え、2005年1月以来5年3カ月ぶりに30%超の増加率を記録した。
対日輸出も同じ傾向を見せている。昨年の第1四半期と第2四半期(4~6月)は30%以上も急減したが、第4四半期は5・2%減と減少幅が縮小し、今年1月以降は増加に転じた。特に3月は34・3%も増えた。
韓国経済は、昨年前半に中国をはじめとする新興国向けの輸出が増えたことで、景気低迷からいち早く抜け出した。だが今年は、世界経済が先進国を中心に回復に転じていることもあり、米国や日本などの先進国向け輸出が急速に伸びている。
輸出品目別に見ると、昨年は世界同時不況の影響で苦戦した一般機械、家電製品、自動車の輸出が今年入り好調だ。一般機械は昨年実績は前年比28・3%減少した。今年は建設分野への投資を強めている中国と、資源開発への投資を続けているロシア向けの輸出が増え、3月は前年同期比32・3%に反転した。
家電製品は昨年、世界的な需要の落ち込みが響き前年比21・7%減となったが、今年は中国や米国などでの需要増に後押しされ、3月は前年同期比46・2%の伸びを見せた。自動車は欧米だけでなく、中南米や中東など新興国でも需要が拡大し、3月は前年同期比51・6%増を記録した。
石油製品は昨年、原油価格下落の影響により主要品目のなかで最大となる39・2%も減少したが、今年は原油価格の上昇により3月は41・6%増となった。
昨年下半期から輸出が急増している半導体は、今年も120%を超える増加率を見せるなど、輸出を先導している。半導体は、関連製品の価格上昇や台湾企業の生産停滞なども好材料となり、3月は前年同期比121%増を記録。液晶デバイスも新興国を中心に需要が拡大し、3月は64・5%増となった。
一方、携帯電話など無線通信機器の輸出は昨年に続き、今年も不振だ。船舶輸出も金融危機による海運市況の低迷で苦戦が続いている。
ゴールドマンサックスで韓国経済を分析している權九勳(グォン・グフン)研究員は「米国や日本など先進国経済の回復を受け、韓国の輸出も増加傾向にあるが、今後、この勢いは多少鈍化する可能性がある」と展望した。輸出企業は業績回復を持続させるため、今後、米国と日本への輸出にウェートを置く可能性が高いという。