韓国政府と電気自動車メーカーが、次世代エコカーの普及に向けて車種の多角化を推進している。知識経済部は2013年から郵政事業本部などの公共機関に電気オートバイを供給する方針を固め、民間企業と国産技術による新型車の開発を進める計画だ。一方、電気自動車(EV)メーカーのCT&Tは、米ハワイ州とテーマパーク型のEV工場を建設することで合意した。今後、電気バス、4人乗りエコカー、電気スポーツカーの開発を段階的に進める計画だ。
知識経済部はこのほど、媒煙や騒音が出ない電気オートバイ(110cc級)の国産化を進めるため、大林(テリム)自動車コンソーシアムを開発事業者に選定した。同コンソーシアムにはLGイノテック、ウリ産業、成均館(ソンギョングァン)大学などが参加している。政府は3年間に78億4100万ウォンを投じて開発を進める。
電気オートバイは、ガソリン車に比べ、燃料費が少ないことが最大のメリットだ。郵政事業本部は、数年前から郵便の集配・配達業務に使うオートバイを電気車に代替するため、中国や台湾から電気オートバイを輸入している。しかし、輸入車は登坂能力が劣るうえ、1回の充電で走行できる距離が40㌔と短く、郵便業務には適さないのが難点とされる。このため、20分程度の充電時間で最大70㌔まで走行できるバッテリーの開発のほか、30度の傾斜面も登れる位に馬力を強化することが課題となる。
電気車への代替により、オートバイ1台当り年間で約74万ウォンの燃料費と二酸化炭素(CO2)736㌔㌘を削減できる見込みだ。政府は、試作車を開発し、スマートグリッド(次世代送電網)実験団地などで普及させるほか、郵政事業本部は2013年に電気オートバイ4000台を導入する計画だ。
一方、CT&Tは9日、米国ハワイ州と「エコカー工場の設立と支援に関するMOU(了解覚書)を締結した。同社は今後、9273平方㍍の工場用地を確保し、電気自動車の組立工場とショールーム、リゾート団地からなる「EVテーマパーク」を建設する。組立工場の生産能力は年産1万台で、電気バスなどを生産する。
自然環境に恵まれたハワイで自動車工場の建設が許可されたのは初めてだ。ハワイはバスや地下鉄などの交通機関が少なく、観光地であるため、排ガス規制も厳しい。また、ガソリン価格も、米国本土に比べ40%以上も割高とされる。このためハワイ州も電気車開発に関心を示しており、公害を誘発する塗色・溶接作業を伴わない無公害の生産工程を備えているCT&Tの誘致を決めた。
ハワイ州はエコカーの普及に向け、CT&Tに工場用地を安値で提供するほか、道路などインフラ整備支援、エコカー購入の補助金制度導入、無料充電施設の設置など、行政支援を強化する方針だ。リングル州知事はMOU締結式で、「世界レベルのエコカー工場を誘致できたことに満足しており、ハワイを世界的な『グリーン観光』のメッカに発展させたい」と抱負を述べた。