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2010/05/21

<韓国経済>現代重工業・原発事業に本格参入

  • 現代重工業・原発事業に本格参入

    現代重工業の原発参入で斗山重工業との競争が激化しそうだ(斗山重の原子炉製造工場・昌原)

 韓国の造船大手、現代(ヒョンデ)重工業が原子力発電設備事業に本格参入する。同社はこのほど、2012年から原子炉や蒸気発生器など核心機器の製造を事業化させるための中・長期計画を確定し、今年から国内発電事業への入札を進めるとともに、原発の補助機器分野に事業領域を拡大する方針だ。これにより同社は、造船業の枠を超え、総合重工業会社として生まれ変わることになり、これまで原発設備市場を独占してきた斗山(トゥサン)重工業との受注競争が激化する見通しだ。

 原発事業への参入を決めた現代重工業は、発電事業に必要な設備投資と資金調達、そして専門人材の確保に着手した。同社は今年から来年にかけて、UAE(アラブ首長国連邦)原発や新蔚珍(ウルジン)原発に使われる補助機器の受注をめざす方針だ。また、米ゼネラルエレクトリック(GE)などと協力して、国際核融合実験炉の建設にも参加する。

 そして、2012~14年に原子炉や蒸気発生器など核心機器の製造を本格化させ、源泉技術を持つ米ウェスティングハウスや仏アルストムなどとの協力を進める。国内では韓国電力技術(KOPEC)の原発モジュールの設計を担当し、技術を蓄積する。原発事業の売上目標は、年間1兆~2兆ウォンに設定した。

 また同社は、1999年に政府主導の産業合理化政策により韓国重工業(現・斗山重工業)に譲渡した発電設備事業を再開する方針だ。海外で大型複合火力発電所(1000メガ㍗級)などの受注を拡大するとともに、国内の発電事業にも参加する案を検討している。

 これまで同社は、海外の発電設備事業には携わってきたが、国内事業に関しては斗山重工業が原子炉や蒸気発生器など主要機器の納品独占権を握っているため、参入を見送ってきた。しかし、昨年末に韓国電力に対する斗山の独占納品権が満了となり、来年8月にはタービン発電機に関する独占供給権も終了する予定だ。このため、発電・原発事業への参入障壁が一気に崩れることから、同社にとってはビジネスチャンスだ。

 さらに造船不況も終息しそうにない状況であるだけに、造船に代わる新成長動力の育成も課題となっている。

 原発市場は世界的にも急成長している。世界原子力協会(WNA)によると、2030年までに全世界で発注される予定の原子力発電所は430機で、金額ベースでは総額1200兆ウォンに達する見込みだ。

 一方、韓国政府は昨年末、UAEからの原発受注を機に、原発事業の垂直系列化を検討している。現在、韓国電力(原発輸出を担当)、韓国水力原子力(運営、開発などを担当)、韓国電力技術(設計などの技術サービス)が横並びで推進している公共部門の原発事業を再編する計画だ。

 この過程で、斗山重工業が独占してきた核心機器などの供給に関しては競争入札を認める方針であることから、現代重工業を交え、公共・民間の複数企業による競争が一段と激化することになりそうだ。