韓国とエジプト両政府の間で、高速鉄道と原子力発電所の建設などの経済・技術協力が急速に進んでいる。エジプト政府はこのほど、投資・フリーゾーン庁の使節団を韓国に派遣し、インフラ整備と新再生エネルギー、医療・バイオなど先端技術分野への投資と技術者派遣などを要請した。使節団は訪韓期間中に46件の大型プロジェクトを提案するなど、投資誘致に意欲を見せた。
現在、エジプトはインフラ構築に関連した大型プロジェクトを推進している。特に、首都カイロと地中海沿岸都市アレクサンドリアを結ぶ高速鉄道(総延長220㌔㍍)の建設を進めており、韓国にも投資を求めている。今月末にエジプト交通省の長官が訪韓し、韓国政府と高速鉄道建設について意見交換をする予定になっている。
エジプト政府は、中国に対しても高速鉄道への投資提案書を提出しており、韓国が参入する場合、中国との受注競争が激化しそうだ。このほど訪韓したエジプト投資・フリーゾーン庁のオサマ・サレ長官は、「中国側が高速鉄道事業への参入に意欲を見せているが、韓国とも議論したい」と語った。エジプト側は高速鉄道のほか、カイロの地下鉄車両を外国に発注する計画もあり、韓国では現代ロテムなどが応札を検討している。
エジプト使節団は訪韓期間中、ポスコ、サムスン、STX、LGなどの大企業と、仁川や大田のバイオベンチャーと商談を行い、46件の大型プロジェクトへの投資を要請した。使節団は、インフラ整備と製薬、水処理、新再生エネルギー分野に対する韓国企業の投資を期待している。
韓国のエジプトに対する投資は5000万㌦ほどで、投資企業も20社に過ぎない。使節団団長のサレ長官は、訪韓中の記者会見で、「高速鉄道と原発の建設をはじめとする新再生エネルギー部門に対する韓国企業の積極的な投資を望んでいる」と強調した。
エジプトは、グローバル金融危機前までは7%台の経済成長を続けていた。このため、電力需要が急増し、エネルギー需給のアンバランスを改善するために、風力や太陽光発電などの新再生エネルギーの開発や原発建設を計画している。
今後は需給格差がさらに広がると懸念されており、エジプト政府は2020年までに消費エネルギーの20%を新再生エネルギーに代替する「2020エネルギープロジェクト」を進めている。
エジプト側の関係者は「韓国は昨年にUAE(アラブ首長国連邦)から原発建設プロジェクトを受注したことで、評判が高まっている。エジプトの原発市場は、韓国にとってもビジネスチャンスになる」と述べた。駐エジプト韓国大使館によると、エジプトでは今後、原子力発電所4基を建設する計画があり、近い将来、具体的な動きがあるという。エジプトは原発建設で各国に投資を要請しており、韓国にもエネルギー省の高官を派遣する予定だ。