世界中で高速鉄道市場が新たなフロンティアとして注目されている。鉄道インフラは、1件当たり数十兆ウォン台になる大型事業であり事業期間も長い。そのために各国では、世界的な景気低迷からの突破口として捉えている。現代・起亜グループの鉄道車両メーカー・現代ロテムなど韓国企業も同分野での世界進出を加速させている。新興市場だけでなく、技術力が問われる先進国での入札にも参加していく方針だ。
現代ロテムの事業比率は昨年、海外が全体の70%を占めた。海外販売車両も前年比64・4%増の784両に拡大した。東南アジアや南米、中東、アフリカなど新興市場での成功が奏功した。同社が海外でブランド力を高める目的は、高速鉄道事業の受注にある。これまで、計画段階にあった世界各国・地域の高速鉄道事業が入札を開始したことで進出を加速させている。KB投資証券によれば、世界の鉄道市場受注規模は2015年までに646兆ウォンに達すると予想されており、その数値は年平均3%成長している。高速鉄道事業は国家プロジェクトとして推進されるケースが多く、多額の資金が投入されることで、各国では世界的な景気低迷からの突破口として捉えている。各国の高速鉄道計画の規模を見ると、米国68兆ウォン、ブラジル24兆ウォン、リビア2兆2000億ウォン、ウズベキスタン2兆ウォンなどだ。特に中国は世界最長の高速鉄道を計画しており、ベトナムやウズベキスタンなども相次ぎプロジェクトを立ち上げている。
さらに鉄道事業は雇用創出と景気浮揚効果をもたらす。鉄道施設の拡充は鉄鋼、土木、電子装備、機械部品など各種基盤産業を活性化させる。
世界の原子力発電所の契約規模は2030年までに約1200兆ウォンとみられているが、鉄道市場は契約規模で原発に匹敵し、雇用や建設下請け会社に及ぶ経済的波及効果を考慮すれば原発を超える。したがって、鉄道の技術力で優位に立っている韓国など主要各国では激しい受注競争が繰り広げられている。
世界的に現在、注目を集めている高速鉄道事業は「ブラジルの高速鉄道」だ。事業規模は200億㌦に達する。ブラジル政府はサンパウロ経由でリオデジャネイロとカンピーナスの各都市を結ぶ高速鉄道(全長511㌔㍍)を計画しており、11月29日を応札期限とし、12月16日に事業者を発表予定だ。これを巡り、韓国、日本、中国などが水面下でし烈な競争を繰り広げている。
現時点で高速鉄道を輸出する技術力を備えた国は、韓国、日本、フランス、ドイツ、中国、スペインなどだ。最近、韓国は大型事業である高速鉄道の受注に対し、政府が直接乗り出した。政府が民間事業に参加したのは、韓国だけではない。日本は高速鉄道を輸出するための民・官・政の共同海外受注機関「JARTS」を設立し、情報収集、妥当性調査などを遂行。フランスも国営機関SYSTRAを設立し、海外進出を支援している。