政府は自動車、造船、繊維、医療、農食品など既存産業にIT(情報技術)を組み合わせ、2015年までに85兆ウォン規模のグローバルIT融合市場を育成する構想を打ち出した。このIT融合市場実現のため、昨年10%水準だった核心部品を国産化率30%に高め、年間売上1000億ウォン以上のIT融合専門企業を100社に増やす計画だ。
知識経済部は京畿道・果川(キョンギド・クァチョン)政府庁舎で開かれた危機管理対策会議で、企画財政部、雇用労働部、国防部、国土海洋部、農林水産食品部、放送通信委員会、保健福祉部、環境部など各部署が連携して“汎政府レベル”で推し進める「IT融合拡散戦略」を発表した。
計画の趣旨は、2015年に世界のIT融合新製品のうち10%を韓国で創り出し、部品の国産化率を30%に引き上げることで、5大IT融合強国へと飛躍するというものだ。
「IT融合」の例としては、通信事業者のKTが現代自動車と共同開発した「SHOW現代自動車モバイル・サービス」がある。携帯電話の遠隔操作によって車両を診断・制御するサービスで、ドア、トランク、サイドミラーの開閉やエンジン、変速機、冷却水、エンジン・オイルなどの状況診断を行い、車両の状態をリアルタイムで確認できるものだ。また、エコ・ドライブ機能も備えている。
政府は、このようなIT融合の核心部品の開発において、官民合同で大規模な投資を行う構えだ。「スマートホーム」など融合製品間の超高速無線通信を支援するネットワーキング部品の商用化に向けて、2015年までに官民合同で約2150億ウォンを投じる。現在は、海外から全量輸入している自動車用システム半導体をはじめ、高精密モーターなどが投資対象となっている。
これと関連して、年間売上高1000億ウォン以上のIT融合専門企業を、現在の50社から2015年には100社へ拡大させる方針だ。専門企業には、政策金融公社などの政策資金を支援し、ベンチャーキャピタルなどからの投資も誘導する計画だ。
また、IT融合の人材育成にも乗り出す構えだ。医療、機械、建設、照明など深刻な人材不足問題を抱えている分野で、今後5年間に780人のIT融合人材(博士クラスの専門家)を育成する計画だ。中長期的には、全産業分野で2000人の人材を養成する。
さらに340億ウォンを投入し、今年から来年にかけて、最先端の研究環境を備えた「融合技術研究所」を各大学に設置する。ここでは、U(ユビキタス)ヘルス分野などの研究を進める。
これとともに、年内に造船会社やIT機資材製造会社などが参加する、「造船革新センター」を構築し、国防分野とのIT融合も促進する方針だ。特に造船や自動車など、国内の主要企業とIT企業間のCEO(最高経営責任者)によるミーティングを積極的に企画し、産業間の理解と協力関係を形成することで、実質的なIT融合の成果を引き出す計画だ。
知識経済部は「世界のIT融合市場は年平均11・8%ずつ高成長しており、現在の1兆2000億㌦から2020年には3兆6000億㌦へと増加する」と予測する。