韓国石油公社が、英国の石油探査企業ダナ・ペトロリアム社に対する敵対的M&A(企業買収・合併)に成功した。同公社はダナの発行株式29・50%を場内市場で買い取ったのに続き、このほど公開買い付けで34・76%のダナ株式を株主から取得。合計64・26%の株式を確保した。ダナ買収により韓国の石油の自主開発率は初めて2桁台に上昇する見通しだ。
石油公社の関係者は、「8月20日に株式公開買い付けを宣言して以来、1ヶ月余りで経営権の確保に必要な50%以上の株式を買い取ることができた。
公開買い付けの手続きが公正に行われたとの承認も、英国金融当局から得た」と説明した。株式買い付け費用は、約1兆9000億ウォンとなる。
石油公社は年末に理事会を開き、新規経営陣を選任する予定だ。同公社は、最終的にはダナ株主90%以上の承認を取り付けて全株式を取得し、石油の保有埋蔵量すべてを確保する方針だ。
ダナは昨年の時点で、北海や北西アフリカなど14ヶ国・36地域に油田鉱区を保有しており、埋蔵量は合計2億2300万バレルとされている。
石油公社のダナ買収は、大きく2つの意味を持つ。
一つは、国内企業として初めて海外で敵対的M&Aに成功した事例であること、もう一つは、海外の資源開発市場における拠点を欧州及び北アフリカ地域へと拡大させる転機となったことだ。
同公社は今年6月、ダナの理事会にLOI(買収意向書)を提出した。資源M&A合戦が激化している中央アジアと中南米地域での競争を回避し、欧州と北アフリカ地域に資源開発の拠点をシフトさせるためだ。
しかし、ダナ側は北海の油田探査の成功を会社の価値評価に含めていないことを不服とし、買収交渉が決裂した。そのため石油公社は、株式公開買い付けによる敵対的M&Aに方針を転換させた。メリルリンチを通じて、保有株式48・62%に相当する19の機関投資家からLOIを事前確保する交渉を進めてきた。
石油公社は、ダナの理事会に当初提案した買収価格より1ポンド高い一株当たり18ポンドを提示し、株主はこれに合意。事前にLOIを取り付けた後、公開買い付けにより株式を取得した。
今回の買収を契機に、同公社の海外資源開発事業は一層弾みがつく見通しだ。
同公社は昨年、ペルーのペトロテック、カナダのハーベスト・エナジー・トラスト、カザフスタンのスンベなど資源探査・開発企業を相次いで買収し、韓国における石油の自主開発率(石油需要量のうち、韓国企業が独自に確保した量の割合)を2008年の5・7%から9・0%へと押し上げた。ダナ買収で自主開発率はさらに高まり今年、史上初めて2桁の10・5%台に上るとされている。
現在、石油公社は17ヶ国で47油田鉱区を確保しており、一日当たりの原油生産量は13万バレル、埋蔵量は9億バレルに達する。
同公社は持続的な海外企業のM&Aを展開し、2012年までに一日当たりの原油生産量を30万バレル、埋蔵量を20億バレルへと増やす計画だ。今月7日までに同公社が公開買い付けの株主に代金を支払い、株式取得の手続きが完了する。