外交通商部は、韓国・EU(欧州連合)間のFTA(自由貿易協定)発効を受けて声明を発表、「貿易と投資を拡大させる重要な契機になる」と強調した。昨年の韓国とEU間の貿易額は922億ドル。カレル・ドゥ・グヒュトEU通商担当執行委員は、「2030年までに倍増するだろう」と期待を表明。金宗壎(キム・ジョンフン)・外交通商部通商交渉本部長は、韓国製品のEU市場シェアは現在の2・6%から3年以内に3・0%にアップすると見通した。韓国市場ではすでに関税引き下げ分が反映されて、自動車やワインの値下げが始まっており、EUが身近な存在になりそうだ。
FTAの最大効果は貿易拡大だ。韓国と競争関係にある日本や中国がEUとFTAを締結するには少なくとも3年以上はかかるため、韓国は価格競争力で優位に立っている。
韓国の対EU輸出は昨年435億㌦だったが、今回のFTA発効で410億㌦相当の商品に対する関税が即日撤廃された。対EU輸出で大きなプラス効果が期待できる。最大の恩恵を受けるのは自動車業界。欧州産自動車の韓国市場席巻を懸念する声が上がっているが、新車市場は韓国の120万台に対してEUは1400万台と10倍以上であり、輸出効果の方がはるかに大きい。
FTA発効後、韓国で目に見える効果が表れているのは自動車、ワイン、農産物などだ。
自動車は1500㏄超の乗用車が現行の8%から3年かけて段階的に撤廃されるが、初年度は5・6%に引き下げられた。これを受けて、韓国で販売される欧州からの輸入車の大半は、関税引き下げ分を反映して値下げされた。値下げ幅はBMW、メルセデス・ベンツなどが1・5~3%前後。アウディ、ポルシェも値下げ幅は決まっていないが、値下げを計画している。
また、15%の関税が即時撤廃されたワイン業界も、ワイン輸入最大手のクムヤン・インターナショナルが最大10%の値下げを行った。低価格のバルクワイン(瓶詰めでなく大容器に入ったワイン)のメーカーは、韓国向けの輸出を増やすため輸入業者と活発に接触しているという。
一方、現代自動車、起亜自動車は関税引き下げ分を直ちに価格には反映せず、マーケティング費用に充て、ブランドの知名度を高める作戦だ。
施行即日に4・5%の関税が撤廃された自動車部品の輸出増大への期待も高まっている。現代・起亜自動車の欧州工場は、エンジンなど部品を韓国から輸入しており、より安価な自動車生産が可能になった。また、BMWなども韓国からの部品輸入を検討している。欧州委員会は、域内の企業は年間16億ユーロの関税を節約でき、機械、農産物の輸出業者が最も恩恵を受けるとみている。
EUとのFTAは、貿易だけでなく、様々な効果が期待されている。