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2011/02/25

<韓国経済>釜山地域中心に・貯蓄銀行が相次ぎ営業停止

  • 釜山地域中心に・貯蓄銀行が相次ぎ営業停止

    「預金引き出しがなければ営業停止はない」と顧客を説得する金錫東・金融委員長(釜山のウリ貯蓄銀行)

 韓国の貯蓄銀行が相次いで営業停止処分を受けている。金融委員会は17日に貯蓄銀行の中で資産規模1位(10兆ウォン)の釜山貯蓄銀行と系列の大田(テジョン)貯蓄銀行を6カ月間の営業停止処分にしたのに続き、19日には預金引き出しで流動性危機に陥っている釜山第2・中央釜山・全州(チョンジュ)・宝海(ボヘ)の貯蓄銀行4行に対しても同様の措置を下した。これらの銀行は手形・貸出の満期延長などを除くすべての営業ができなくなり、地域庶民金融に大きな打撃を与えている。

 金融委員会が釜山・大田貯蓄銀行を不良金融機関に指定し、営業を停止した17日、両行には預金を引き出そうとする顧客が殺到し、混乱が生じた。正常営業中である同系列の釜山第2貯蓄銀行も、状況は同じだった。数千人の顧客が殺到、銀行側が1日に対応できる1000番まで準備した整理券は1時間でなくなった。

 金融委は「大田貯蓄銀行のほか、親会社の釜山貯蓄銀行も資産より負債が多い状態であり、預金の引き出しに応じられない状況」と説明した。

 釜山第2・中央釜山・全州の3行は、釜山貯蓄銀行系列だ。親会社である同行の営業停止の影響を受け、17~18日の2日間で4200億ウォンの預金が引き出される騒ぎとなった。貯蓄銀行中央会預託金、緊急支援資金まで動員したが、殺到する数千人の顧客の前では力不足だった。これで釜山貯蓄銀行系列5行はすべて営業停止となった。宝海貯蓄銀行も国際決済銀行(BIS)基準の自己資本比率が5%未満という事実が公開された後、預金引き出しが相次いだ。

 これら銀行の預金者は、預金者保護法により元利金基準で1人当り5000万ウォンまでの預金は全額保護される。

 金融委員会関係者は、「預金引き出しは釜山地域を中心に流動性不足となった複数の銀行に集中し、規模も三和貯蓄銀行の営業停止の時より遥かに少ない。BIS比率が5%を超えている貯蓄銀行94行の預金はむしろ増えている」と説明した。道民・ウリ・セヌリ・イエスの4行がBIS比率5%未満だが、増資などが実現されれば問題はないとみている。だが、営業停止が相次いだ釜山地域では不安感が高まっており、 金錫東(キム・ソクトン)・金融委員長は週明けの21日、急きょ釜山を訪れ、地域の不安感を解消するのに全力をあげた。同日午前3時からウリ貯蓄銀行には1000人を超す顧客が預金引き出しの列をなしたが、金委員長が「預金引き出しがなければ営業停止はない」と預金者を直接説得する一幕もあった。

 これら貯蓄銀行の経営悪化は、過度なプロジェクトファイナンス(PF)による貸出が大きく影響している。現在各行は、再建計画を立てているが、前途は楽観できない。

 釜山貯蓄銀行系列5社は、売却も検討されている。金融専門家は「独自の努力やM&A(合併・買収)で解決する段階は過ぎた。限界企業は果敢に撤退させてこそ預金者の動揺を防ぎ、金融市場の不安感を取り除ける」と指摘。言論界からも「問題のある銀行は速かに退出させ、違法貸出・横領・背任を犯した大株主と監査は徹底的に処罰しなければならない。庶民の金融機関という本来の役割に戻るように、貸出業務も制限するべきだ」との主張がでている。

 しかし、「正常なウリ貯蓄銀行をブラックリストとして公表したのは、当局の誤りだ」との指摘もある。

 1997年の通貨危機以降、貯蓄銀行の問題は何度も浮上し、これまで注ぎ込んだ公的資金と預金保険基金だけで17兆ウォンを超える。今回の問題も、金融当局が06年に貯蓄銀行の貸出限度を大幅緩和したのが原因の一端とされる。政府も抜本的な対策が求められている。