現代自動車はブラジルで中南米初の自動車工場の建設に着手した。先月25日、サンパウロの北西140キロにあるピラシカバで起工式が行われ、辛鐘雲(シン・ジョンウン)副会長は「最高品質の車両を生産・販売し、ブラジルの自動車産業と経済発展に寄与したい」と強調した。事業費6億ドル。敷地面積139万平方メートルに年産15万台の工場を来年11月までに完成させる予定だ。現代自の海外工場は米国、中国、ロシア、インド、チェコ、トルコに次いで7カ国目。特に、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)4カ国すべてに完成車生産体制が整うことになる。
起工式には、辛副会長はじめ、朴上植(パク・サンシク)・駐サンパウロ総領事、アルキミン・サンパウロ州知事、ネグリ・ピラシカバ市長ら両国政府と財界関係者ら300人が出席した。
ピラシカバは、標高540㍍の高地に位置する人口32万人のブラジル中堅都市。現代自動車がこの地を建設地に選んだのは、部品産業が発達しており、トヨタ、ホンダ、フォルクスワーゲン、メルセデスベンツなどが近隣地域に生産基地を置いて自動車生産のメッカだからだ。サンパウロ州政府は、税制面での支援のほか無償で敷地を提供、道路などインフラ整備も行うなど現代自の進出を大歓迎。現代自とともに部品などの協力メーカー7社も進出する。
現代自は小型ハッチバックモデルの生産など、ブラジルをはじめ中南米市場の特性に合わせた現地化戦略を強化していく計画だ。特にブラジル工場では、ブラジル国内で浸透している、ガソリンとエタノールのどちらも燃料として使える「フレックス燃料車」を生産する予定だ。
現代自は、1988年にインド・チェンナイに年産10万台の工場を建設後、中国、ロシアへと現地生産網を広げてきた。今回のブラジル工場が完成すれば、BRICs4カ国での生産能力は年産195万台に拡大する。
ブラジルは昨年の自動車販売台数が324万台を記録し、ドイツを抜き、中国、米国、日本に次ぐ世界第4位の自動車市場に浮上した。ブラジル自動車工業会は、15年には500万台を超え、日本を抜いて世界第3位に浮上するとみている。ブラジル市場は、中南米の自動車内需市場の60%を占めるほど大きい。現代自が生産拠点を確保することで、欧米メーカーがリードしてきた同国市場の構図にも変化があると予測している。
現代自は昨年、ブラジルで「i30」を前年比125%増の3万6510台販売し、準中型クラスでトップに立つなど善戦したが、ブラジル市場全体でのシェアは10位の2・4%にとどまっている。現代自は今後、ブラジル工場でハイブリッドエンジンを搭載した小型車を量産し、シェアを高めたい構えだ。