2兆ウォンと予想される大韓通運の買収をめぐって、ロッテ、ポスコ、CJの三つ巴戦が展開されている。大韓通運売却の主幹事である産業銀行・野村證券によると、これら3グループが入札締切日までに買収意向書を提出し、去就が注目されたサムスンと新世界は応札しなかった。今年最大級のM&A(買収・合併)となる韓国最大の総合物流会社の買収に成功すれば、どのグループも決定的に強力な物流基盤を確保することになる。結果は5月にも出る見通しだ。
今回の入札は、錦湖アシアナグループの、アシアナ航空と大宇建設が保有している大韓通運持ち分47・9%(各23・95%)を売却するもの。応札した3グループは、いずれも既存事業に物流事業を融合させることで、相乗効果を最大化できるとしている。ロッテとCJは既存の食料品・飲料事業の競争力強化を狙いにしている。
真っ先に買収意思を明らかにしたポスコは、大韓通運買収で物流費用を節減、グローバル競争力を育てるという考えだ。インドネシア、インドなどで建設を推進中の一貫総合製鉄所と中国やベトナムなどの加工センターでの物流物量が莫大で、物流費用の節減を迫られている。昨年買収した大宇インターナショナルの国外物流と浦項・光陽製鉄所など国内物流も統合・一元化する必要がある。
ポスコ関係者は「国内外製鉄所の物流を統合し、コントロールするための専門系列会社が必要だ」と語った。
ロッテは、辛東彬(シン・ドンビン)会長が先月に買収意思を表明、積極的に取り組んでいる。百貨店、マート、ホームショッピング、インターネットモールなど流通系列会社が主力であるため、どの企業よりも陸上物流と宅配事業に関心が高い。
湖南石油化学など石油化学部門とのシナジー効果も期待している。輸出が売上高全体の65~70%を占めるロッテの石油化学系列会社は、海運業と港湾荷役に強い大韓通運を通じて、費用節減が可能なためだ。ロッテにとって、昨年の大宇インターナショナル買収戦でポスコに敗れた雪辱戦でもある。
CJは、物流企業のCJ GLSを保有しており、買収のシナジー効果が大きい。CJ GLSは昨年の売上高が1兆4000億ウォンで、大韓通運に次ぐ国内第2位の物流企業だ。今回の買収が成功すれば、CJは物流業界で圧倒的な位置を占めることになる。
財界筋は、「手持ち現金が豊富なポスコは、さまざまな分野の優良企業を買収し、業容を拡張するという長期計画があり、ロッテとCJは国内最大のネットワークを持つ大韓通運の買収で一気に物流市場を掌握する戦略だ」と見ている。
25日に予備入札を実施するが、今回は最も高値で入札する企業に最優先交渉権が与えられる見込みだ。
閔裕聖・産銀金融持ち株会長は「大韓通運の売却はアシアナ航空と大宇建設の財務構造改善が目的だ。価格が最も重要な判断材料になる」と説明した。買収価格は2兆ウォンを超えるとの見方も出ている。
◆大韓通運とは
1930年に設立された韓国最大手の総合物流企業。昨年の売上高は2兆997億ウォンで、営業利益は986億ウォン。韓国国内に38支社、米中など7カ国に30支店。従業員4068人。08年に経営悪化し、錦湖アシアナグループが4兆1000億ウォンで買収。しかし、同グループが資金難に陥り、今回の売却となった。