GSカルテックスが創業以来最大の投資で、高度化設備の重質油分解脱硫プラント建設に取り組んでいる。このほど第3工場完成と同時に第4工場に着工し、高度化設備で国内トップに立った。同社はまた、電気自動車用リチウムイオン二次電池の核心素材であるソフトカーボン系負極材を生産する工場建設にも取り組んでおり、日本企業と合弁で着工した。
全羅南道・麗水(ヨス)の建設現場で高度化設備の竣工式と起工式が行われた。金滉植(キム・ファンシク)・国務総理も参席。GSカルテックスの許東秀(ホ・ドンス)会長は、「重質油分解設備は重質油を親環境型の軽油に転換し、エネルギー効率を高め、炭素排出量を減らすグリーン成長技術だ」と強調した。
GSカルテックスは、06年9月にプロジェクトチームを結成、08年10月から3兆3000億ウォンを投入して第3・第4高度化設備事業を開始した。
今回完成した第3高度化設備の正式名称は、減圧残渣油水素添加分解脱硫プラント(VR HCR)。日産能力6万バレルで、アスファルトのような超重質油を経由などに分解できる。この設備はアジアでは初めての導入で、世界でもシェル、BPなど石油メジャーに次いで7番目の最先端設備だ。この設備のため2兆2000億ウォンを投資した。
新たに着工した第4高度化設備は、日産5万3000バレル。特に、大気中に排出される硫黄化合物を年間7万㌧ほど減らせる流動触媒分解方式で建設する。
GSカルテックスの高度化プロジェクトは、1990年代初め、化学工学博士学位を取得後、米シェブロンで研究員を務め、「ミスターオイル」と呼ばれた許東秀会長の呼びかけで始まった。当時、バンカーC重油など重質油に対する需要が船舶用として十分にあったが、今後の環境問題を見据え、95年に日産9万4000万バレルの第1高度化設備を完成、次いで07年には日産6万1000バレルの第2高度化設備が完成した。この時点で高度化比率は21・8%。今回の第3高度化設備完成で28・3%に高まり、Sオイル(25・%)を押さえ、国内石油業界トップに立った。第4高度化設備が完成する13年には高度化比率はさらに35・3%に高まる。
GSカルテックスによると、第3設備完成で年間6億㌦、第4設備を含めると10億㌦の輸出増大が期待される。
▼重質油とは 比重0.82~0.95で、発熱量は1万㌔㌍/㌔㌘。炭化水素が主成分で、若干の硫黄分及び微量の無機化合物が含まれている。大気汚染の原因となる重油中の硫黄分を低減し、ナフタ、ガソリン・灯油・軽油などに分解するため高度化設備の導入が進められている。