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2011/07/15

<韓国経済>ハイニックス半導体・買収戦が本格化

  • ハイニックス半導体・買収戦が本格化

    ハイニックス半導体の製造工程

 今年下半期(7―12月)の国内M&A(合併・買収)市場最大となるハイニックス半導体の買収戦は、SKとSTXグループが激突する形になった。両グループとも未来成長とグローバル事業のチャンスとみて、買収意向書を債権団(主幹事クレディ・スイス)に提出した。これまで最有力とされていた現代重工業は「買収を断念する」と発表した。債権団は8月末に本入札を実施、9月初めに最優先交渉対象を選定する計画だ。買収価格は3兆ウォン前後とみられている。

 2001年に資金難から債権団の管理下に入ったハイニックス半導体の経営権譲渡問題が、いよいよ大詰めを迎えた。

 SKグループは、エネルギー、通信に次ぐ新たな成長エンジンを求めていた崔泰源(チェ・テウォン)会長が「半導体に賭ける」と最終決断した。SKは、08年に債権団がハイニックス半導体の売却推進を宣言した時から関心を示していた。同グループ関係者は、「約2年前からハイニックス半導体の買収が内需中心の(SKの)限界から脱却するチャンスと考えていた」と語った。昨年からスマートフォン(高機能携帯電話)の普及が拡大し、通信市場が変化したこともハイニックス買収に傾く大きな要因だった。

 ハイニックス半導体は世界2位のメモリー半導体メーカーであり、その買収効果は大きい。スマートフォンがパソコンを代替するほどに高度化している状況で、ハイニックス半導体の技術と製造能力を確保することは、今後SKがスマートフォン市場だけでなく、通信事業全体の変化に対処できる最良の対策だという位置づけだ。

 一方のSTXは姜徳寿(カン・ドクス)会長自らが陣頭指揮をとっている。主力事業の造船・海洋部門(全売上高の90%)がある程度軌道に乗ったので、事業多角化のため今回の買収に乗り出した。STXはこの10年間に買収を繰り返し、最近では大宇造船海洋の買収にも成功した。ハイニックス半導体も、早くからM&A対象だった。

 姜会長は、グローバル製造企業にのみ投資するUAE(アラブ首長国連邦)の私募ファンドがハイニックス半導体を共同で買収しようと提案してきたのを受けて本格的に買収に乗り出した。資金確保に心配がなくなったからだ。

 当初、最有力候補だった現代重工業の買収断念にも関心が集まっている。これまで外資系証券会社の中から買収手続きの主幹事の選定を進めるなど、ハイニックス買収に積極的だったのは、造船業主体の事業構造を多角化することができる上、旧現代ファミリーの企業を取り戻すという意味もあった。しかし、最終的に買収を断念したのは、重工業と半導体では事業の性格が異なり、相乗効果が得られず、むしろ負担ばかりが拡大すると判断したためだという。

 メモリー半導体は、景気変化に敏感だ。価格が2~3倍に高騰したかと思えば、すぐに暴落する。こうした半導体経営の難しさから、これまで候補に挙がっていたLGや暁星、東部などのグループも相次いで買収を断念した。現在、ハイニックス半導体は経営難から脱却し、昨年の年間営業利益は3兆2730億ウォンを記録した。