エスオイルが、蔚山(ウルサン)広域市蔚州(ウルチュ)郡の温山(オンサン)工場拡張工事を終え、このほど竣工式を開いた。拡張プロジェクトにより、エスオイルのパラキシレン年間生産能力は74万トンから2・3倍の170トンに拡大した。単一工場としては、世界最大規模のパラキシレン生産能力を確保したことになる。エスオイル関係者は、「パラキシレンは合成繊維を作るポリエステルの基礎原料だが、今回の工場拡張で世界人口の半分に当たる34億着分の服を作れることになった。羊毛に換算すれば3億4000頭分に匹敵する」と説明した。
竣工式には李明博大統領、サウジアラビアのアル・ナイミ石油鉱物資源大臣、国営石油会社サウジアラムコのハリド・アル・ファリハCEO(最高経営責任者)、趙亮鎬(チョ・ヤンホ)・韓進グループ会長、許東秀(ホ・ドンス)・GSカルテックス会長、具滋栄(ク・ジャヨン)・SKイノベーション社長など1000余人が参加した。
李大統領は「エスオイルは難しい時期に投資したが、好景気になって賢明な投資だったと考えている」とし、「サウジアラビアと韓国の素晴らしい協力モデルだ」と強調した。エスオイルのアフメッド・A・スーベイ社長は「韓国とサウジアラビア、エスオイルとサウジアラムコのパートナーシップをより強固にする契機になることを願う」と述べた。
4年前の2007年11月に開かれたエスオイル理事会には、最大株主のサウジアラムコ(保有株式は35%)、大株主の趙亮鎬・韓進グループ会長、許東秀・GSカルテックス会長、具滋栄・SKイノベーションス社長ら理事会メンバーが全員集結した。
案件は、投資額1兆3000億ウォンの温山工場拡張プロジェクト。これは、エスオイルの自己資本(約2兆3000億ウォン)の半分を超える大規模投資であり、熟考を必要とした。
業界では、竣工時期の今年には、石油化学の景気が悪化すると憂慮する声もあったが、エスオイル理事会は全員一致で投資案件を可決した。経済回復、原油価格変動、定期補修などを考慮すると、石油化学の景気サイクルは変わると確信したためだ。
エスオイルの予想は的中した。今年のパラキシレン(綿など天然繊維の代替材料となる合成繊維ポリエステルの基礎原料)価格は過去最高を記録した。パラキシレン生産能力を拡大したエスオイルは現在、好況を謳歌している。
エスオイルの温山工場拡張プロジェクトは、09年6月から18万4500平方㍍用地で本格的に進行した。延べ人数132万人を動員し、レミコントラック1万5000台分のコンクリートと鉄構造物4万㌧を投入。燃料と製品を運ぶパイプライン長さは700㌔㍍に及ぶ。建設過程では施工会社のサムスンエンジニアリングをはじめ、釜山・慶尚南道地域の協力会社270余りが参加した。
今回の拡張で、パラキシレン以外に、ベンゼンも年産30万㌧から56万㌧に増加。また、軽質油(コンデンセート)からナフタを分類する工程も新たに導入し、原油精製能力が一日58万バレルから66万9000バレルに増大した。
エスオイルは新規施設の生産物量を海外に販売することで、年間20億㌦以上の輸出増大効果を上げると見込んでいる。