12月から「協同組合基本法」が施行される。同法の施行で、ほぼ全ての事業領域で協同組合の設立が可能になる。既存の協同組合は農業や林業、水産業などの1次産業と1部金融・消費分野に限られているが、今後は出資額に関係なく5人以上集れば製造業やサービス業での設立も可能になるからだ。法施行を控え、組合設立の動きが本格化する見通しだが、1年以内に1万以上の組合が誕生するとみられている。
企画財政部によると、協同組合基本法を制定した理由について、雇用を拡大できる多様な形態の企業組織体を活性化させる必要があると判断したためという。企画財政部関係者は「柔軟な組織運営を通じて、不況にも能動的に対応できるだろう」と語った。
韓国の協同組合は、農業協同組合と水産業協同組合が最も代表的だ。これまでの協同組合法は、農協法、信用協同組合法など8つの特別法による個別法からなっており、いずれも政策的な判断により、政府の支援などを受けて誕生した。特別法が制定されていない分野では協同組合の法的設立根拠がないため、多様な協同組合の設立が不可能だった。
今年は、国連が定めた国際協同組合年。韓国では今年1月26日、協同組合設立の自由を保障し、運営の基本原則及び政府の責務などを盛り込んだ協同組合基本法を制定・交付した。
最大の特徴は、5人の出資者が集まり市長・道知事に申告するだけで協同組合を自由に設立できる点だ。12月1日に施行する。
設立が大幅に自由化されたことで、今後設立が活発化する見通しだが、どんな分野どんな協同組合が誕生するのか関心が集まりそうだ。
そんな中、海外及び国内の協同組合の事例を紹介する「グローバル300―世界の協同組合」と題する報告書が、ICA(国際協同組合同盟)から発刊された。2008年現在の世界300大協同組合(売上高基準)の実績を盛っている。
それによると、世界300大協同組合の売上高は総額1兆6000億ウォンに達する。
韓国は農業・林業分野の農協中央会の総売上高が320億㌦で世界7位にランクされた。協同組合活動が最も活発なフランスは全世界の協同組合の売上高の28%を占める。各国の代表的な協同組合も紹介している。有名なのが報道分野の米AP通信。1848年にニューヨークの新聞6社が欧州のニュースを共同取材するため作ったハーバー・ニュース・アソシエーションが母体だ。サッカーファンが熱狂するスペインのFCバルセロナは市民がつくった協同組合サッカークラブとして出発した。ワイン、ジュースの代表的なブランドであるウェルチは北米の農家でつくられた「全米葡萄協同組合」が運営している。
韓国で民間の株式会社と競争しながら業界1位座にあるのはソウル牛乳協同組合が代表例だ。1973年に誕生し、ソウル、仁川、京畿道、忠清南道と江原道の1部地域で乳牛5万頭以上を飼育している。昨年の売上高は1兆4611億ウォンで、純利益は278億ウォンを記録した。この利益の65・3%が組合員に配当金として分配された。
組合関係者は「株式会社と違い、持分ではなく1人1票の資格で経営に参画でき、実績に基づき公正に利益の配分を受けているので満足度は高い」と語った。組合員は、総会議決権、選挙権、書類閲覧権、総会招集請求権などの権利を行使できる。
◆協同組合 共通する目的のために個人あるいは中小企業者等が出資して事業体を設立し、共同で運営する非営利の相互扶助組織。不特定多数を株主に無限利益を追求する株式会社と異なり、組合員に対するサービス向上等に主眼を置いている。
株式会社の議決構造は1株1票だが、協同組合は出資額に似関係なく1人1票だ。所有形態は株式会社が独占も可能な出資者所有であるのに反し、協同組合は独占が認められない組合員所有になっている。