ルノーサムスンが、2014年からSUV(スポーツタイプ多目的車)「ローグ」の後続モデルを年間8万台受託生産し、北米市場に輸出することになった。韓国を訪問したルノー日産自動車グループのカルロス・ゴーン会長が20日、ソウル市内で記者会見して明らかにした。ルノーサムスンは、仏ルノーが80%を出資しており、販売不振を挽回するための支援策だ。
ゴーン会長は会見で、「日産の米国での生産台数の一部をルノーサムスンに移管したのは、ルノーグループがルノーサムスンの競争力を高く評価した結果だ。今後ルノーサムスンをルノーグループのアジアでの開発・生産拠点として引き続き育成していきたい」と述べた。
ゴーン会長はルノーサムスン支援策として大きく2つの点を示した。
第1点は、日産のローグ後継モデルを14年から向こう6年間、釜山工場で年間8万台生産するというもの。今後6年間に48万台の「韓国製日本車」が北米市場に投入されることになる。
来年10月から量産に入る計画だ。日産は当初、米国の現地工場で全量を生産することを決め、米国工場の生産能力不足分(8万台)を設備拡張で解決しようとした。しかし、ゴーン会長がルノーサムスン釜山工場を活用する案を示し、急きょ方針変更した経緯がある。
ルノーサムスン関係者は 「釜山工場の戦略的長所が浮上し、釜山工場を活用することになった」と話した。ゴーン会長は韓米FTA(自由貿易協定)やEUとの韓欧FTA効果に注目しているという。
第2点は、1億7000万㌦の新規投資だ。この金額はローグ生産のための釜山工場ライン整備と関連した設備投資に使われる。
業界では、ゴーン会長の支援策について、ルノーサムスンの現状維持レベルだと見ている。ルノーサムスンの釜山工場の年間生産能力は30万台だが、昨年の生産台数は24万台で、今年は22万台の見通し。
結局、ローグ8万台生産は、釜山工場の稼動率を正常水準に引き上げることを意味している。だが、経営危機からは脱することができる見込みだ。
ルノーサムスンの経営は厳しい状態にあり、昨年の営業赤字が2000億ウォンにふくらみ、今年も上半期(1~6月)販売台数が8万台にとどまり、昨年同期比32・8%減となっている。
ルノー日産の全世界での生産台数は、昨年800万台に達した。日本国内での生産は100万台だが、ゴーン会長は、日本の生産拠点を本州から九州に移し、釜山、中国などとの生産ネットワークの拡大を図っている。ルノーサムスンにとっては、今回初めて北米輸出が実現することになる。
ゴーン会長は、ルノーサムスンの今後について、「年末に再建戦略を発表する。無条件、経費を節減する方式ではなく、生産ライン拡張と部品国産化率拡大、生産設備の活用など複合的な戦略を推進し、価格競争力と品質を高めることに力点を置く」と語った。