韓国銀行の朴洋洙・計量モデル部長ら13人が発表した報告書「負債経済学と韓国の家計および政府負債」によると、韓国の総負債(家計+企業+政府)が2010年末現在でGDP(国内総生産)の2倍を超えた。特に家計部門の負債が急増、消費減退の大きな要因になっていると指摘した。また、高齢化に伴い政府部門でも負債が急増し、深刻な税制状況に陥る可能性があると警告した。
10年末現在の総負債は2519兆ウォンで、GDPに占める比率は215%。1990年に比べ11倍も増えており、同期間のGDPの伸び(6・1倍)の約2倍近い。
総負債の急増は、家計部門が主導した。家計部門の負債額はGDPの80%を占めており、10年前に比べ2倍近く増えている。この結果、都市勤労者の家計所得中、利子として支出する比率(利子償還比率)は09年の第2四半期(4~6月)から2・5%を超えており、昨年第4四半期(10~12月)には2・8%に達した。
韓銀は、過去の統計を分析した結果、この比率が2・5%を超え消費が急激に萎縮したことをあげ、家計負債が危険水域に入ったと判断している。朴部長は、「過度な負債で元利金償還負担が大きくなった家計が消費を減らし、これは企業の売上減少と家計所得減少につながり、再び家計負債負担が大きくなるという悪循環に連結する」と指摘した。
実際、07年から11年まで家計の消費増加率は年平均2・5%で、年平均GDP成長率3・4%を下回っている。
報告書は、10年上半期(1~6月)以後の1年間に発生した新規個人向け融資の66%が年所得3000万ウォン以下の低所得世帯のものと発表した。低信用層の延滞率は世界金融危機水準に上がり、多重債務者が急速に増加しているのも危険信号だ。
家計だけでなく、政府負債も急増しており、昨年には420兆7000億ウォンを記録。世界金融危機以前の07年(299兆2000億ウォン)に比べ、わずか4年間で100兆ウォン以上も増えた。GDPに占める比率は前年比0・6ポイント増の34・0%だった。このままのペースで増えれば、政府の負債比率は30年にはGDP比106・0%まで上昇すると予想した。特に、人口高齢化で社会保障性の支出増加だけで、政府負債は30年にGDP比72・3%に達するとの予想だ。
これに比べ、企業負債は10年末現在でGDP比104%を記録、同期中に10ポイント増えるにとどまった。だが、依然と負債比率が高水準であるのに変わりはない。
報告書は、「生産可能人口が減少しており、需要が減退し、資産価格が急落する可能性があり、バブル崩壊につながる恐れがある」と指摘。政府は基礎的財政収支の改善、社会保障制度の構造改革、不動産価格の管理、金融性債務増加の抑止などに力を入れるべきだと提言した。