韓国航空宇宙産業(KAI)が、欧州最大の航空機メーカー、エアバスにA320の翼下部構造物を独占供給することになった。エアバスが実施した翼下部構造物製作の国際入札で優先交渉対象に選ばれ、3月末までに契約締結のための細部協議を終える予定だ。契約が締結されれば、KAIは2025年まで年間約500機分の同構造物を供給する。供給金額は約1000億ウォンで、昨年の同社売上高の8%に相当する。韓国の航空機部品受注額としては過去最大規模となる。
A320シリーズは座席数150程度の近・中距離用旅客機。民航機として初めてデジタル式フライバイワイヤ(電気的な操舵技術)システムを採用し、評判を呼んだ。1988年にエールフランスで初就航。これまで世界200以上の航空会社が使用しており、累計8000機が販売された。
翼構造物は、航空機の安全に直結する核心部品であり、航空機メーカーで直接製作する場合が多い。特に、下部構造物は、上部構造物より高い水準の技術が要するとされる。
KAI関係者は、「開発・品質・事業管理能力と価格競争力などで高い評価を受け、英国、インドのライバルメーカーを抑えて最終的に選ばれた」と説明。「今回の受注は、A320の生産が中断されるまでの独占納品契約なので2025年以降も納品が続くこともある」と語った。
金弘経(キム・ホンギョン)・KAI社長は「今回の事業は、規模や技術の側面でKAIはもちろん、韓国航空産業の地位を高める契機になる」と評価、「完成機輸出と民航機部品輸出を強化する事業再編を進めている」と明らかにした。KAIは長期的に事業を安定させるため、民需輸出部門を強化しており、現在40%台の輸出比率を2020年までに55%以上に高める計画だ。
KAIは、99年に現代宇宙航空、サムスン航空産業、大宇重工業が統合して誕生。最近では超音速のT-50高等訓練機を開発、インドネシア向け輸出に成功するなど航空機メーカーとしての力をつけている。
KAIの所在地、慶尚南道泗川(サチョン)は航空機部品メーカーのメッカであり、KAIの協力企業のハイズ航空が最近、米ボーイング社から600万㌦相当の航空機部品供給契約を結ぶなど海外からの評価も高い。
KAIは、今回の事業で協力企業の育成にも力を注ぐ計画だ。事業リスクや初期の大規模投資を考慮し、開発初期はKAIが担当するが、製作は協力企業主導型にする。これにより、400人以上の協力企業の雇用が生まれるとみている。