サムスングループが大卒採用の3分の1以上を地方大学の出身者で占めるようにし、低所得層の子弟も特別に全体の5%前後採用する方針を決めた。能力中心の採用およびチャンスを拡大させるための採用方針変更だ。李健熙(イ・ゴニ)・サムスン会長は再三にわたり人材の重要性を強調しており、「第2の新経営」を採用の革新で始動させたとみられている。
サムスンは下半期(7~12月)の大卒新入社員の公開採用で、地方大学出身者の採用比率を35%に高めることにした。最近の5年間、地方大学出身者の採用比率は25~27%だった。
今年の大卒新入社員の採用人員は9000人であり、毎年3200人の地方大学出身者が採用されることになる。ソウルなど有名大学に偏重した雇用慣行をなくす試みだ。また、サムスンは基礎生活受給対象など低所得世帯の大学生からも、大学の総長・学長の推薦で年間400~500人を採用する方針だ。
社会の二極化が韓国でも深刻化しており、これはサムスンにとっても悩みの種だ。社会の安定なくしては企業発展にも支障が生じるからだ。不平等が深化すれば、韓国最大企業グループのサムスンへの風当たりが強くなることもある。
このような認識のもと、サムスンは採用の門戸を広げたとみられる。最も大きな社会貢献となる「雇用」を通じて、不均衡の緩和に寄与しようというものだ。サムスン未来戦略室の李仁用(イ・イニョン)・コミュニケーションチーム長は、「地方大学の競争力を上げ、地域均衡発展を誘導する効果も考慮した」と述べた。
二極化は物質的な不均衡にとどまらず、チャンスの不平等へと広がっている。良家の子女がより良い教育を受け、チャンスをつかむ構造だ。今回の採用方式の変化は、米国が白黒差別解消のため施行した少数階層優待政策と同じ脈絡だ。サムスンは低所得層の青少年を対象にし、教育支援→就職へつながる「希望の梯子」プログラムも導入する計画だ。
サムスンの離職率は年々増加傾向にある。サムスン関係者によると、出身大学や語学などは優秀であっても、ハングリー精神や創意性に乏しい新入社員が多いという。
そのためにサムスンは若手社員のチャレンジ精神の育成に努めており、地方大学出身者と低所得層の採用を増やすことはハングリー精神を高揚できると判断している。