韓国銀行、韓国金融研究院に続き、国策研究機関のKDI(韓国開発研究院)も、成長見通しを引き下げた。KDIは最近発表した「2012年経済見通し」で、今年の経済成長率を3・6%と予想した。昨年11月の予想値3・8%に比べ0・2ポイント低い。世界経済の不確実性が高まり、輸出、内需とも当初予想より減少、景気減速が続くとの分析だ。特に、ギリシャ危機により、欧州債務危機の影響が大きくなると見ている。
KDIが今回、経済見通しを下方修正したのは、国際原油価格が1バレル=115㌦へと当初見込みより15%上昇することが前提となっている。原油10%値上がりで成長率は通常0・2ポイント下落するというのが、KDIの説明だ。最近の国際原油は100㌦をやや上回る水準だが、イランからの原油禁輸などで下半期(7~12月)に反騰、年間平均で115㌦になるとみている。
この原油問題に加え、欧州債務危機が尾を引いており、新興国の成長にも影響を及ぼしている。当然、韓国の輸出に打撃を与えており、3、4月と輸出は前年同月比でマイナスに鈍化した。
また、今年第1四半期(1~3月)に表れた政府の予算早期執行効果も下半期には鈍り、増大する家計負債とじりじり上昇している物価は内需に否定的な影響を及ぼし、成長率を引き下げると予想している。
KDIは、3・6%成長の内需寄与度を3・0ポイントとみている。内需が今年の韓国経済をけん引するとの見方だ。
だが、これは非現実的だとの指摘がある。韓銀も成長寄与度で内需が輸出を上回るとはみているが、それぞれ内需2・0ポイント、輸出1・4ポイントでその差はKDIに比べ小さい。金融専門家は「内需を決める賃金上昇率と物価などの代表的な市場がKDIの見通しのように良くなるかは疑問だ」と指摘している。
韓銀は4月16日に当初の3・7%から3・5%に引き下げた。次いで金融研究院も3・7%から3・4%に引き下げた。今回のKDIも引き下げたことで、政府も修正値の発表を迫られることになった。
問題は、時と共に世界経済の環境は悪化している点だ。KDI修正値3・6%は楽観的だと指摘があり、ユーロ圏に対する憂慮が高まっている最近の流れを考慮すると、追加引き下げの可能性も排除できない。
韓国の成長潜在力は4%とされている。現在の成長率をみると、明らかに経済の活力は萎えている。
現在の世界経済の状況は、先の世界金融危機以上に深刻だとの指摘もなされている。輸出主導経済の韓国にとって、世界経済の変動は直結する。速やかに対策を講じる必要がありそうだ。