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2012/02/03

<韓国経済>サムスン電子・不況下、売上高2ケタ増めざす

  • サムスン電子・不況下、売上高2ケタ増めざす

 昨年に過去最高の売上高をあげたサムスン電子は今年、10%以上の売り上げ増を目標に掲げた。昨年の売上高は165兆ウォンであり、10%増で180兆ウォンを超える。また、設備投資額は、昨年より2兆ウォン多い25兆ウォンに設定した。これとは別に、10兆ウォン規模のR&D(研究開発)投資も計画している。サムスン電子は、「世界景気の不透明性や為替変動などのリスク要因があるが、下半期(7~12月)から景気の流れは良くなる」と判断、不況下2ケタ台の成長をめざす積極経営を展開する。

 設備投資の内訳は、半導体部門に15兆ウォンを集中投下し、ディスプレーパネル部門にも6兆6000億ウォンを振りわける。設備投資はこの両部門に最も力を入れる。

 スマートフォン(高機能携帯電話)と並ぶ最大の稼ぎ頭である半導体は、DRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)で苦戦が予想される。だが、スマートフォンなどに使用されるNAND型フラッシュメモリーで需要増が期待され、DRAM部門の減少を相殺できるとみている。

 DRAMは世界的に市況悪化にもかかわらず、世界トップのサムスンは市場支配力を強めるため、電子回路線幅30ナノ㍍(ナノは10億分の1)以下の比率を60%以上に、NAND型フラッシュメモリーでも20ナノ㍍以下の比率を90%以上に引き上げる計画だ。また、モバイル半導体などプレミアム製品の差別化にも力を入れる計画だ。

 スマートフォンや新型高機能端末は今年も安定的に成長すると見込んでいる。特に、昨年旋風を巻き起こしたスマートフォンの「ギャラクシー」やタブレット型端末の「ギャラクシータブ」「ギャラクシー・ノート」で好調を維持し、高速無線通信のLTE(ロング・ターム・エボリューション)用機器も積極的に市場に投入する。

 世界シェアトップのテレビ部門でも高い需要が続くと予想。インターネットに対応したスマートテレビなど、高付加価値製品で市場支配力を強める戦略だ。

 一方、サムスン電子の昨年第4四半期(10~12月)の業績が公示された。それによると、売上高が47兆3000億ウォン、営業利益5兆3000億ウォンを記録、四半期基準で過去最高の業績となった。これにより、昨年の年間売上高は過去最高の165兆ウォン、営業利益は歴代2位の16兆2500億ウォンを記録した。

 昨年は欧州債務危機や東日本大震災、タイの洪水などの影響で、世界のIT(情報技術)企業の多くが業績悪化に見舞われた。そんな中で、サムスンはアップルと並び好業績をあげ、業界をリードした。

 特に、スマートフォンなど通信部門の年間売上高は前年比39%増の55兆5300億ウォンに達し、全売上高の約3分の1を占めた。営業利益に至っては90%増の8兆2700億ウォンを記録、全営業利益の約半分を占めた。

 半導体は、売上高が前年比1・7%減の36兆9900億ウォン、営業利益が27・4%減の7兆3400億ウォンに落ち込んだ。だが、減少したとはいえ営業利益は7兆ウォンを超えており、半導体のライバル他社が軒並み赤字転落する不況下、サムスン電子の強さを見せつけた。テレビなどのDM&A事業部門の売上高は58兆9200億ウォン、営業利益1兆4100億ウォンを記録した。ディスプレー部門は7500億ウォンの赤字を計上。

 サムスン電子関係者は「厳しい経営環境の中、他社との差別化を図った技術や原価競争力、マーケティングで売上高を前年比で7%増加させ、営業益の減少も6%にとどめた」と語った。