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2012/02/10

<韓国経済>利益共有制・協力利益配分制に変え来年導入

  • 利益共有制・協力利益配分制に変え来年導入

    協力利益配分制の導入を決めた協力成長委員会。右端が鄭雲燦委員長

 大企業の反発で難航していた「利益共有制」が来年から「協力利益配分制」と名称変更して導入されることが決まった。大企業と中小下請け企業の協力成長をめざす協力成長委員会の第13回会議で、大企業代表も参加して導入に合意した。これにより、大企業の利益の一部を中小下請け企業に分配するという画期的な協力モデルが試されることになった。だが、名前を変えただけでなく、内容も原案に比べ後退しており、強制力もないため、「有名無実化した制度」という厳しい評価も出ている。

 利益共有制は、協力成長委員会の鄭雲燦(チョン・ウンチャン)委員長(元国務総理)が昨年初め「大企業は中小下請け企業と利益を分け合うべきだ」という趣旨で提案した。しかし、同制度の導入に反対する大企業の代表は、最終決定をする昨年12月と今年1月の2回、会議をボイコットした。

 結局、双方の歩み寄りがあり、今月2日の会議には9人の大企業の代表のうち、ポスコやLG電子、現代重工業などの6人が出席、協力利益配分制と名称を変えて導入することに合意した。

 名称変更について協力成長委側は、「利益共有という言葉自体に対する大企業の反発を考慮した」とし、「大企業と下請け企業の自主性を重視し、実施方法も削除した」と説明した。

 今回の合意について、鄭雲燦委員長、大企業、中小企業陣営はともに「半分の成果」と評価している。大企業は、これまで利益分配については論議自体をボイコットしてきた。しかし、最終的には財閥の「利益独占」に対する世論の批判の高まりを考慮した。鄭委員長は、協力利益配分制を強制せず、大企業の自主的な取り組みに任せることで一歩譲歩した。中小企業界は、制度の導入自体は歓迎しながらも、当初の計画より後退したと受け止めている。

 当初の利益共有制には①目標を超過した純利益を分け合う方式の目標超過利益共有制②最終段階の販売収入を分け合う販売収入共有制③純利益を分け合う方式の純利益共有制など具体的な実行方法が提示されていた。だが、協力利益配分制は、実行方法をすべて削除、大企業と中小下請け企業がそれぞれ協約を結ぶ方式に変えている。

 協力利益分配制は自発的な導入を前提としているが、協力成長委が来年から大企業56社の実績を点数化し、評価・公開することを決めたため、世論の批判を避けるためにも導入する大企業は増える見込みだ。

 鄭委員長は、「協力利益配分制は、大企業が協力企業の競争力強化のため投資を行う概念であり、企業成長の好循環のモデルとして発展させることができる」と語った。全国経済人連合会は、「経済的意見を十分収集せずに決めたのは残念だが、大企業と協力企業との協力によって生じた協力事業の結果物を共有する協力利益配分制が定着することを期待する」とコメントした。だが、中小企業中央会は「妥協の難しい問題、言葉を変え、概念を曖昧にさせて妥協させた性格が濃い」と評した。

 関係専門家は「実際にこの制度をどう実践するかがカギだ。制度はまだ標準化されたものではないので、大企業と中小下請け企業が実質的に協力して良い方法を探し、韓国型協力成長モデルをつくっていってほしい」と訴えた。