現代重工業、サムスン重工業、大宇造船海洋の造船業界ビッグ3が、海洋プラントに続き、クリーンエネルギー、風力発電、深海底、ロボットなどの新事業分野に重点を置く経営戦略を構築している。これは造船不況の影響もあるが、中国など新興国の追い上げを念頭に置いたものだ。すでに、海洋プラントでは大きな成果を上げており、どこまで変身するのか今後の展開が注目される。
造船業界によると、造船ビッグ3は、各社ごとに新事業チームを構成するなど慌ただしい動きを見せている。10年後をにらみ、未来の成長産業育成へ事業多角化の準備に拍車をかけている。
サムスン重工業は、重電機、ロボット、深海底事業を推進中だ。同社関係者は「事業構造を造船、海洋プラント、機械・電機の3部門に分け、2020年までに売上高を360億㌦に引き上げる中期目標を立てた」と明らかにした。
機械・電機分野では、発電機、変圧器など発電設備の製造をはじめとした重電機事業、造船・海洋プラント生産と関連したロボット製造事業を推進する。盧仁植(ノ・インシク)社長は「重電機と深海底事業は自主開発を通じて独自に進出するのが困難なので、M&A(合併・買収)や戦略的提携も考えている」と語った。
大宇造船海洋は、昨年すでに新事業チームを新設し、発電設備事業と風力発電事業を未来成長エンジンとして育成している。風力発電事業では、M&Aに積極的だ。09年に米国の陸上風力発電事業のデウインドを買収し、カナダに風力発電機製造工場を建設するなど関連分野の投資に積極的だ。最近では、洋上風力発電に目を向け、ドイツの洋上発電メーカー買収をめぐりGE(ゼネラル・エリクトリック)などと競争している。
現代重工業は、クリーンエネルギー事業に力を入れている。太陽光と風力発電を未来成長エンジンに設定、電機・電子システム事業本部から分離し、「クリーンエネルギー事業本部」を新設した。太陽光発電では、景気沈滞でやや苦戦しているが、風力発電事業は国内企業で初めて欧州から風力発電機を受注するなどの成果を上げている。
同社は、国内産業用ロボットの40%を生産しているが、医療用ロボット事業にも取り組むため、今年からソウル峨山(アサン)病院と提携して、現代重工業の技術陣と峨山病院の医療人ら30余人の専門家からなる共同研究室を運営している。現代重工業関係者は「医療用ロボット事業のほか、半導体、太陽電池などに領域を拡大している」と語った。
大宇造船海洋が韓国企業としては初めて、中国の日林グループと共同で北朝鮮の平安(ピョンアン)北道にある黄金坪経済特区に進出する。事業内容は、黄金坪と中国の丹東一帯に船舶修理造船所や事業設備を建設するというもので、日林グループと投資額などを調整中という。
大宇造船海洋と丹東に基盤を置く日林グループは昨年1月、船舶修理事業、風力・原子力事業に関する包括的MOU(了解覚書)を締結。大宇造船海洋は、南相兌(ナム・サンテ)社長直属の企画調整室内に担当チームを設けた。
黄金坪島は、鴨緑江河口にある中洲で、面積11・45平方㌔㍍の大きさ。北朝鮮と中国は、昨年6月に経済特区を着工。