ロッテグループの念願だったビール事業が実現することになった。ロッテ七星飲料はこのほど、国税庁からビール製造業の許可を得た。製造免許の取得を受け、ビール工場の建設が本格化する。工場立地は、忠清(チュンチョン)北道の忠州(チュンジュ)新産業団地。2017年から本格的に生産する予定だ。ロッテの参入により、国内ビール市場はOB麦酒、ハイト眞露とのし烈な三つ巴戦が予想される。
ロッテの忠州工場は、忠州新産業団地内の33万平方㍍の敷地に建築面積は9万9000平方㍍で建設される。早ければ2017年から年間50万㌔㍑で生産を開始する予定だ。投資規模は7000億ウォンにのぼる。
ロッテは各地方自治体と交渉の末、水の供給が円滑で物流など地理的立地が良いこの地を選び、今年1月に忠州市とビール工場建設に関する協約を結んだ。本工場建設に先立ち、1万平方㍍の小規模ビール生産工場を7月から来年4月まで建設、テスト生産することを検討している。
ロッテはこれまで飲料水から炭酸飲料、果汁飲料、茶飲料、焼酒、ウイスキーを手がけており、今回のビール事業参入で「飲料から酒類に至るフルラインアップ体制」を整えたことになる。
ビール事業参入に意欲を燃やしている辛東彬(シン・ドンビン)会長は、李載赫(イ・ジェヒョク)氏をロッテ七星飲料社長に据えた。李社長は、ファストフード業界が深刻な不況に陥った06年初めにロッテリアの代表理事に就任し、2年で事業を完全に立て直した実績の持ち主。
酒類・飲料事業を展開するロッテ七星飲料(ロッテ酒類BGを含む)の売上高は昨年、2兆ウォンを記録、前年の1兆7000億ウォンから約20%増えた。ビール事業展開で今後、売上高の急増が予想される。
韓国のビール市場は、年間3兆5000億ウォン規模で、OB麦酒とハイト眞露がシェアをほぼ二分している。この牙城を崩せるかに関心が集まっている。酒類産業協会の集計によると、ビールの国内シェアは、昨年11月現在でOB麦酒48・22%、ハイト眞露47・78%、輸入ビール4%となっている。輸入ビールの勢いも増しており、競争は激化している。
酒類業界関係者は「ロッテはビールと焼酎、ウイスキー、ワインなどの酒類を総合的に製造・販売することにより、市場に大きな影響を及ぼすだろう」と予測している。だが、別の業界関係者は「シェアを1%上げるには、マーケティングに少なくとも3000億ウォン以上かかる。ロッテが短期間にOB麦酒やハイト眞露に追い付くのは容易でない」と指摘した。
いずれにしても、ロッテには強大な流通網があり、事業パートナーのアサヒビールから製造技術面での協力も見込まれる。国内ビール業界の競争が今後、一層激化するのは間違いなさそうだ。