サムスン電子が、ソウル市内でデザイン・ソフトウエアR&D(研究開発)センターの建設工事を始めた。同R&Dセンターの建設は、ソウル市瑞草(ソチョ)区牛眠(ウミョン)洞一帯の4万6911平方メートルに及ぶ敷地で進行している。地上10階―地下5階の建物6棟で建設され、延面積は33平方メートル規模。総建築費は1兆ウォンに達し、同社は地価を合わせて1兆2000億ウォンを投入する。2015年5月に完工予定で、1万余人の研究人材が常駐することになる。
サムスン電子は、牛眠R&Dセンターをデザイン・ソフトウエアの核心基地として育成する計画だ。瑞草区には、すでにLG電子の瑞草R&Dキャンパス(良才洞)、KTの研究開発センター(牛眠洞)がある。
ソウルに研究施設を建てるのは、サムスン電子の宿願だった。研究員が、交通および教育・文化施設などの面で相対的に便宜性が良いソウルでの勤務を希望するからだ。しかし、最大手のサムスンは政府の地域均衡発展の論理に押され、ソウルに研究施設を確保することができなかった。これまでサムスン電子が大規模研究団地を建てたのは、京畿道の水原市および龍仁市器興などだ。牛眠R&Dセンターは、サムスン電子が初めてソウルに建設する研究センターだ。
09年に競合会社のLG電子がソウル・良才洞に瑞草R&Dキャンパスを建設すると、サムスン電子は本格的に敷地確保を推進。昨年、サムスン電子は競争入札によってSH公社から2018億ウォンで敷地を買い取った。
アップルとサムスン電子の特許訴訟で最も大きな争点となっているのは、デザインとソフトウエア部門だ。アップルは、サムスンがスマートフォンのデザイン、ロック解除などOSを模倣したと主張。アップルはサムスンに25億㌦の損害賠償を要求している。
牛眠R&Dセンターをデザイン・ソフトウエアの研究拠点にするのは、このためだ。アップルとの特許争いなどIT(情報技術)競争の弱点に挙がるデザイン・ソフトウエアの育成なくしては、優位に立てない状況である。
李健熙(イ・ゴニ)・サムスン会長は昨年7月サムスン電子の社長団に「ソフトウエア、デザイン、サービスなどソフト技術の競争力が何より重要になっている」と指摘。8月にグーグルがモトローラM&Aを発表すると、李会長は「ITのパワーがハードウエア企業からソフトウエア企業に移っている」としてソフトウエアの技術を強調した。
以後、サムスン電子はソフトウエア職群(S職群)を新設し、採用人数を大々的に増やしている。S職群は3万1000人を占め、この1年間で6000余人増えた。