米国のダウ・ケミカルやデュポン、ドイツのバイエルなど大手化学企業が韓国への投資を増やしている。とりわけ力を入れているのは、電子素材分野への投資だ。これらグローバル化学企業は韓国の首都圏にR&D(研究開発)拠点を設立し、需要が急増している電子機器や自動車に使用される原料の開発を進めている。
韓国は、人件費および賃貸・施設維持費用が軒並み高くなっており、投資先として魅力に欠けるようにも見える。それにもかかわらず、有力化学企業が韓国投資を積極化しているのは、韓国が電子分野のサムスン電子とLG電子、自動車分野の現代自動車の急成長があるからだ。
化学業界関係者は「韓国のこれら主要3グループは重要な顧客であり、世界の消費者と化学会社をつなぐ役割を果たす。グローバル企業間の競争は激しさを増すほかない」と説明した。
グローバル化学企業は2~3年前から韓国現地法人の事業に力をいれている。世界2位のダウ・ケミカルの場合、韓国法人が2010年から電子材料分野で事実上、本社の役割を担っている。これにより、ダウ・ケミカルの素材事業は一層弾みを付け、韓国内の売上高1兆2000億ウォンのうち、70%が電子素材で占められている。
ダウ・ケミカルはLCD(液晶表示装置)やOLED(有機発光ダイオード)材料など電子素材分野で優れた技術を保有し、スマートフォン(高機能携帯電話)に使われるRGB発色技術が強みだ。今年3月、ダウ・ケミカルは京畿(キョンギ)道・華城(ファソン)にR&D拠点の「ダウ・ソウル・テクノロジーセンター」を設立している。
デュポンは昨年6月、京畿道・盆唐(ブンダン)に「イノベーションセンター」を設立。今年ここで1000万㌦規模の契約が行われた。自動車、電子素材に関するプロジェクトが大部分だ。デュポン本社は農業・生命科学およびバイオ産業に注力しているが、韓国においては電子・自動車産業で使用される素材の開発に拍車をかけている。
ドイツのバイエルは、素材事業部門のバイエル・マテリアルサイエンスを中国に保有している。だが、韓国の顧客と定期的に会うため、今年下半期(7~12月)には京畿道・龍仁(ヨンイン)に「龍仁テックセンター」を設立する予定だ。
ドイツの化学企業ワッカーケミーも、今年3月に韓国の電子・自動車市場を狙ったR&D拠点「グローバル研究開発センター」を京畿道・板橋(パンギョ)に設立した。
ドイツの化学企業ビーエーエスエフの韓国法人は高付加価値の電子材料事業へ本格的に進出した。同事業の主力は半導体とディスプレーだ。ビーエーエスエフは自動車分野でも韓国企業と緊密に協力し、ビーエーエスエフ韓国法人は昨年から現代起亜自動車とともに次世代自動車素材の研究開発を続けている。